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▼山旅【ひとり画語り】(本文のページ)(09)
【とよだ時】(豊田時男
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山旅【ひとり画ッ展】
▼大峰山・役ノ行者も引き返した行者還岳
(ぎょうじゃがえりだけ)

【説明略文】
大峰山には行者たちが祈る75ヶ所の霊場「七
十五靡(なびき)」があります。行者還岳は
そのうちの第58番目の靡き。南面は直立し
た大岩峰で、東西から望んだ姿は鋭い三角形
の絶壁になっています。大峰山の中でも屈指
の行場で、役ノ行者でも引き返したために山
名もそれに由来しているといいます。

【本文】は下記をどうぞ。
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(長文です。拾い読みしてください)
▼大峰山・役ノ行者も引き返した行者還岳
(ぎょうじゃがえりだけ)

【説明本文】
 大峰山の所々には行者たちが祈る75ヶ所の
霊場があり、「七十五靡(なびき)」と呼ばれ
ています。行者還岳はそのうちの第58番目
の靡き。南面は直立した大岩峰で、東西から
望んだ姿は鋭い三角形の崖になっています。
山頂には修験道の八大金剛童子がまつられて
いて、山頂東側には行者の雫水という水場も
あります。

 ここは大峰山の中でも屈指の厳しい行場と
され、その昔、役ノ行者でもこの南面の絶壁
で引き返し、東側を経由して南へ下ったとい
われます(役ノ行者が引き返したのは、熊野
から金峰山へ向かう順峰のときで、逆峰は断
崖を下るので楽だとする説もある)。山名も
それに由来しているといいます。

 西行法師の歌を集めた「山家集(さんかし
ゅう・下雑)」に、行者がへり、稚兒(ちご)
のとまり、續(つゞ)きたる宿(すく)なり。
春の山伏(ぶし)は、屏風立(びやうぶだて
と申(まうす)所を平(たひら)かに過(す)
ぎんことをかたく思(おもひ)て、行者、稚
兒(ちご)のとまりにて、思(おもひ)わ(は)
づらふなるべし、と前置きして「屏風(びや
うぶ)にや心を立(た)てておもひけん行者
は還(かへ)り稚兒(ちご)は泊(とま)り
ぬ」と出てきます。これは屏風立てという難
所を前にして、とても無事に越えることは難
しいと思ったのか「行者は還り稚児は泊まり
ぬ」と地名に寄せて戯れたものだという。(『山
家集・金槐和歌集』(風巻景次郎ほか・校注)
岩波書店)より抜粋。

 ここに出てくる「稚兒(ちご)のとまり」
というのは行者還岳の北方七曜岳と弥勒岳の
間に稚児泊(第六十番靡)のことだそうです。
また江戸時代の天保3(1832年)、行智が著
した「木葉衣・このはごろも」にも「石壁千
丈。峨々たる所なり。桟道あり」と書いてい
ます。いまは山頂の北側から東側を通り行者
還小屋に(無人)下る道が奥駆け道になって
います。これは1877年(明治10)ごろにつ
けられた道だとか。また行者還岳南直下にあ
たる行者還小屋は、1932年(昭和7)に建
てられたものだそうです。

 さらに行者小屋の南にある天川辻(北山越)
は吉野郡天川村と同郡上北山村を結ぶ古い峠
で、女人禁制の時代にも「幅3尺」は女性が
越えてもよいということになっていたといい
ます。女人禁制のきびしいこの大峰山中でも
このくらいの「配慮」はあったんですね。あ
る年の秋、熊野から吉野への順峰を歩いてき
ました。弥山を出るときからの大雨で笹をわ
けながらやっと天川辻に到着。行者小屋へ駆
け込もうとしました。しかし入り口の戸が開
きません。しばらくガタガタやっていたら中
から戸が開きました。先客がひとり、中から
鍵を閉めていたのです。

▼行者還岳【データ】
★【所在地】
・奈良県吉野郡天川村と上北山村の境。近鉄
吉野線下市口からバス1時間15分天川川合下
車歩いて4時間半で行者還岳。三等三角点
(1546.2m)がある。地形図に山名と三角点
の標高のみ記載。三角点より南方向直線約19
0mに行者還ノ宿(行者還小屋)がある。

★【位置】国土地理院「電子国土ポータル
Webシステム」から検索
・行者還岳三等三角点:北緯34度12分16.87
秒、東経135度56分41.35秒

★【地図】
・2万5千分の1地形図「弥山(和歌山)」



▼【参考文献】
・『山家集(さんかしゅう)」西行:日本古典
文学大系29『山家集・金槐和歌集』風巻景
次郎ほか・校注(岩波書店)1961年(昭和36)
・『新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ
出版)2005年(平成17)
・『日本山岳ルーツ大辞典』村石利夫(竹書
房)1997年(平成9)
・『日本山名事典』徳久球雄ほか(三省堂)2004
年(平成4)
・『日本歴史地名大系30・奈良県の地名』池
田末則ほか(平凡社)1981年(昭和56)
・『木葉衣・このはごろも』行智(天保3・
1832年)名著出版(昭和60年)


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