【本文】
街の中の寺院でも宇賀神堂(うがじんどう)と書かれた立札をみます。
「ウガジン?」宇賀神てナンダ?「宇賀神は穀物の神さ」。エッ、コクモ
ツ?。「だから福の神だな」ヘエ。「福の神なので七福神のひとつ弁財天
でもあり、また弁財天と夫婦神なのだ」????。「その上稲荷と習合し
てキツネの神でもある」ときたもんだ。
こんなにワケのワカラナイ神さまもメズラシイ。なにがなんだか神なので
あります。
そもそも宇賀神の宇とは梵語(ぼんご)の「宇賀耶」を日本語に訳したも
の。財施からきており福神とされるとか。
また日本神話の食稲魂命(うけのたまのみこと)や保食神(うけもちのか
み)と音が似ている(ほんとかいな?)ところから同じ神だといわれている
んだと。
食稲魂命は、スサノオノミコトの子で宇迦之御霊命(うかのみたまのみ
こと)とも書きます。「うが」は「うけ」に通じ、食の意味。食物を司る神だと
いいますが、ちょっとこじつけのような気もするよ。ムリムリ……。
保食神は大宜都比売神(おおげつひめのかみ)と同じ神です。保食神
は月夜見尊(つきよみのみこと)に口から食べ物を出してごちそうしようと
した。月夜見尊は「きたない!」と怒り、保食神を殺してしまいました。する
とその死体から五穀が生じたとするものであります。これも「うか」が「うけ」
に通ずるところという。
また宇賀神さまは白蛇を神として祭つるともいい「宇」は宇宙の宇で天
のこと、虚空蔵(こくぞう)菩薩(すなわち父・金剛界)であり、「賀」は地の
ことで地蔵菩薩(すなわち母であり胎蔵界)、「神」はどういうわけか観世
音菩薩だといい、総じると弁財天になるのだそうであります。
このような複雑怪奇(宇賀神サン、ばちあてないで!)な神でも「宇賀
神のようにとも綱まいて置き」という川柳があるように漁村にまで広く信仰
される神であったのであります。
▼【参考文献】
・『民間信仰辞典』桜井徳太郎編(東京堂出版)1984年(昭和59)
・『信州の石仏』曽根原駿吉郎(文一総合出版)1980年(昭和55)
・『日本石仏事典』庚申懇話会(雄山閣)1979年(昭和54)
・『宿なし百神』川口謙二著(東京美術刊)1979年(昭和54)
▼CDブック【新・ふるさとの神々事典】から引用しました。
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▼ヤマケイ新書『日本百霊山』
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【とよだ 時】 山の伝承探査
山旅通信【ひとり画っ展】発行
【時U-moあ-と】すたじお
山旅はがき画の会
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