山の伝承伝説に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼859号 「御坂山塊・節刀岳はホオジロ山」

▼859号 「御坂山塊・節刀岳はホオジロ山」

【本文】
富士五湖の河口湖、西湖、精進湖などを隔てて雄大な富士山を眺め
ながら縦走できる御坂山塊。この山塊のほぼ中間に節刀ヶ岳という
山があります。

ここは節刀ヶ岳(北節刀ヶ岳)と南側にある金山(中節刀ヶ岳)に
分かれています。節刀ヶ岳はどの方向から見ても先がとがって見え
るといい、山頂は狭くて芦川村側に入り込んでいます。

この山系では東北方向にある釈迦ヶ岳とともに盟主に恥じないとす
る本もあります。節刀ヶ岳と書いてせっとうがたけ(せっちょう
がたけ)。漢字で雪塔ヶ岳とか、出頂ヶ岳(絶頂の意味?)とも書
くという。

山名にはこのほかいくつかの説があり、節刀はセッチョウの当て字
で、鳥の「ホオジロ」のことだといいます。また「節刀」とは平安
時代の言葉で、恩賜の軍刀をいうのだする人もいます。『日本山岳
ルーツ大辞典』によればホオジロがたくさんすみついている山だと
しています。北節刀ヶ岳には三等三角点(1736.4m)があり基準点
名はセットヶ岳。

ある年の5月、身延線市川本町駅から四尾連湖経由で節刀ヶ岳を訪
れました。きょうは朝から富士山を見っぱなし。富士山があるのが
当たり前に感じます。すぐ下に西湖の湖面が光り、となりに河口湖
も見えます。

ある参考書には三角点と小祠のあとがあるとありますが、祠のあと
は確認できませんでした。節刀ヶ岳からバイパス新登山道ができて
います。うっかり旧道に入り込み、薮のひどい廃道から引き返えし、
改めて大石峠に向かったことがありました。

▼節刀ヶ岳【データ】
【山名(よみがな)】
・せっとうがたけ(せっちょうがたけ)

【異名】
・雪塔ヶ岳、出頂ヶ岳、せっちょうがたけ

【山名の由来】
・ホオジロのことを「セッチョウ」というとか、平安時代の恩賜の
軍刀を「節刀」というなどの説がある。雪塔ヶ岳、または出頂(絶
頂)が変化したなどの説があるが定説はない(「新日本山岳誌」)。
節刀はセッチョウの当て字。セッチョウはホオジロ鳥のこと(「日
本山名事典」、「日本山岳ルーツ」)。ほおじろがたくさん棲みついて
いる山(「日本山岳ルーツ」)

【所在地】
・山梨県笛吹市と同県富士河口湖町(旧南都留郡河口湖町)との
境。富士急行河口駅の北西8キロ。富士急行河口駅からバスプチ
ペンション村停留所下車、歩いて2間で大石峠、さらに歩いて1時
間30分で節刀ヶ岳。中節刀ヶ岳へはさらに15分。

北節刀ヶ岳と中節刀ヶ岳(金山)に分かれる。3等三角点(1736.4
m・南向き)がある。(そのほか付近に何もなし)。地形図上には山
名(節刀ヶ岳)と三角点記号とその標高のみ記載。(or付近に何も
記載なし)。

【位置】国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索
・【節刀ヶ岳三等三角点】緯度経度:緯度: 35°31′42″.6773 、
経度: 138°41′00″.3012

【地図】
・2万5千分の1地形図「河口湖西部(甲府) 」

【参考文献】
・「角川日本地名大辞典19・山梨」竹内理三編(角川書店)1991年
(平成3)
・『コンサイス日本山名辞典』徳久珠雄編(三省堂)1979年(昭和54)
・『新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫(竹書房)1997年(平成9)
・「日本山名事典」徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成4)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

 

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