山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

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▼713号 自然観察「冬を堪え忍ぶスイカズラ」

【概略】
寒い冬の真っ最中にスイカズラの葉が枝先で越冬中。丸く巻き込ん
でいるのは寒さを防いでいるのだとのこと。冬を堪え忍ぶというの
で忍冬(にんどう)の名もあります。花には甘いがあり、子供たち
が吸うという。スイカズラのスイは「吸い」だったのです。・スイ
カズラ科スイカズラ属の多年生つる植物

▼713号 自然観察「冬を堪え忍ぶスイカズラ」

【本文】
身がこごえるような北風がピューピューと吹きすさぶ寒い冬なの
に、野山の道ばたに生えているスイカズラのつるの枝先に、紫っぽ
い葉がまだ残っています。これは葉が越冬しているのだそうです。

葉の縁が裏側へ丸く巻き込んでいるのは寒さを防いでいるのだとの
こと。ご苦労さまなことです。昔の人もそう思ったのか、冬を忍ぶ
というのでスイカズラに「忍冬(にんどう)」の名をつけました。

5,6月頃、2個ずつ対になって咲く花は咲きみだれると、あたり
一面甘い香りがします。この花冠をとり、筒を吸うと蜜が口に広が
ります。スイカズラのスイは「吸い」だったのです。

果実は初め緑色をしていますが、秋に熟すと、まっ黒になり、つや
があって美しくなります。それを小鳥が食べ、種子は糞にまじって
あちらこちらにまき散らされます。

この日本や中国の原産のスイカズラが海を渡り、アメリカやヨーロ
ッパで増えて困っているとか。向こうへ「帰化?」している植物も
あるんだなァ。

薬用:タンニンを含んでいるので葉やつぼみを止血、殺菌、湿疹、
口内炎、扁桃腺炎に利用する。茎や葉を刻んでお湯に入れると腰痛
や痔、美容によいといいます。試してみたらいかがです?
・スイカズラ科スイカズラ属の多年生つる植物

▼スイカズラ【データ】
・【名前】
花の蜜を子供が吸うからスイカズラ。また薬草として吸い出し薬と
して利用したからの説あり。冬を堪え忍ぶというので忍冬(にんど
う)日本原産

・【利用・薬用】:タンニンを含んでいるので葉やつぼみを止血、殺
菌、湿疹、口内炎、扁桃腺炎に利用。茎や葉を刻んでお湯に入れる
と腰痛や痔、美容によいという。忍冬酒。

・【民俗】
日本3秘境の一つ秩父の浦山の疱瘡神送りに利用される

・【性質】
つるの巻き方:左巻き

・【参考】
「世界の植物・1」(朝日新聞社)1975年(昭和50)
「植物の世界・1」(朝日新聞社)1996年(平成8)
「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)
「日本大百科全書・12」(小学館)1986年(昭和61)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

 

 

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