山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼675号 「山の植物・蟻も怖がるアリドオシ」

【概略】
アリドオシは漢字で蟻通し。いかにも蟻をも通すような鋭い細い針
をもっている植物。このアリドオシを「有り通し」と縁起をかつぎ、
やはり赤い実のなる1両(アカモノ)から万両(マンリョウ)まで
を一緒に寄せ植えして「年中お金が有り通し」といってと楽しむ。
・アカネ科アリドオシ属の常緑小低木

▼675号 「山の植物・蟻も怖がるアリドオシ」

【本文】
山を歩いていると、妙な植物に出会います。蟻さんを刺し通さんば
かりに鋭いトゲが生えているアリドオシ。一目で逃げ出す感じです。
植物の枝といえば葉腋(茎の一部分で葉の付着点のすぐ上)から出
るのがふつうです。

それなのにアリドオシは枝(トゲ)は托葉(葉の付け根にある1対
の葉片のような器官)の腋から出ています。図鑑によればこれは例
外中の例外なのだそうです。

それにしても「蟻通し」とはスゴイ名前です。このトゲはみんな印
象に残るのか中国では虎を刺す「虎刺」というというから話がでか
い。高さ30〜60センチくらい。枝は二股に分枝をくりかえし、葉は
1節おきに大きいものと小さいものがつきます。

5月ごろ、葉腋に1から2個、筒形の白い花を咲かせます。果実は
直径5〜6ミリで、冬に赤く熟します。

これをアカモノ(1両)、ヤブコウジ(10両)、カラタチバナ(100
両)、センリョウやマンリョウといっしょに植えて「一両、十両、
百両、千両、万両、年中有り通し」などと縁起をかついで楽しみま
す。

・アカネ科アリドオシ属の常緑小低木 山地のやや乾いた樹林下に
生え、関東地方以西、四国、九州、沖縄に分布。

▼【データ】
【参考】
・「植物の世界・2」(朝日新聞社)1996年(平成8)
・「世界の植物・2」(朝日新聞社)1975年(昭和50)
・「日本大百科全書・1」(小学館)1984年(昭和59)
・「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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