山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼653号 「山の花・わずかに花柄ニッコウキスゲ」

【概略】
ニッコウキスゲの標準和名はゼンテイカ。かつては北海道のものを
エゾゼンテイカ、本州のものをニッコウキスゲと区別していたとい
う。花は濃い橙黄色の6弁花。以前は朝咲いて夕方しぼむ1日花と
いわれていたが、実際には2日花で、朝咲いてそのまま夜を過ごし、
翌日の夕方にしぼむのだという。
・ユリ科キスゲ属(ワスレグサ属とも)の多年草

▼653号 「山の花・わずかに花柄ニッコウキスゲ」

【本文】
ニッコウキスゲの標準和名はゼンテイカ(禅庭花)。別名セッテイ
カというそうです。ゼンテイカでも東北地方南部から北のものは花
の柄(首)がなく、花被片も質が厚く、表面にたてに溝がならぶ傾
向があるそうです。これがゼンテイカの基本種だとか。

これに対して関東や中部のものは花に短いが柄があり、花被片がや
ややせて肉が薄い。そんなことから、以前は北海道のものをエゾゼ
ンテイカ、本州のものをニッコウキスゲと区別していたそうです。

しかし、あちこちの野生種を調べてみるとどうもはっきりとは分け
ることは難しいようです。そこで両方ひっくるめてゼンテイカと呼
んでいるのだそうです。

ニッコウキスゲの群落は長野県の霧ヶ峰・尾瀬・東北の飯豊山・福
島県の雄国沼・栃木県の霧降高原が有名です。花茎は高さ60センチ
くらい。花は濃い橙黄色の6弁花。

以前は朝咲いて夕方しぼむ1日花といわれていましたが、実際には
2日花で、朝咲いてそのまま夜を過ごし、翌日の夕方にしぼむのだ
そうです。名前の禅庭花・別名セッテイカの意味は不明という。

これによく似た花にユウスゲがあります。花の色が淡く、夕方の開
いて次の日の午前にしぼんでしまいます。
・ユリ科キスゲ属(ワスレグサ属とも)の多年草

▼【データ】
【参考】
・「世界の植物・9」(朝日新聞社)1977年(昭和52)
・「植物の世界・10」(朝日新聞社)1996年(平成8)
・「日本大百科全書・17」(小学館)1989年(平成1)
・「花おりおり」湯浅浩史ほか著(朝日新聞社刊)2002年(平成14)
・「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

 

 

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