山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼510号 「北ア・白馬大池の鳥居」

【概略】
白馬岳の北東にさざ波をたてる高山湖の白馬大池に、かつて鳥居が
建っていたという珍しい話があります。海抜2397m、周囲2キロ、
サンショウウオも生息しています。最も深い所で13.5m、日本の
高山湖のなかでも、第2位の深さだといいます。1927(昭和2)年、
白馬村森上の後藤敏氏は白馬岳に天照大神を祭り、天狗っ原に白馬
岳神社の祠を建てました。つづいて白馬大池に鳥居を建てたという
ことです。

▼510号 「北ア・白馬大池の鳥居」

北アルプス白馬岳の北東にある白馬大池は、海抜2397m、周囲2キ
ロ、サンショウウオも生息しています。最も深い所で13.5m、日
本の高山湖のなかでも、第2位の深さだといいます。

日本の湖沼学の開拓者、田中阿歌麻呂はここで携帯ボートに乗り、
初の高山湖調査を行ったそうです。その湖上にかつて鳥居が建って
いたというめずらしい話があります。

1927(昭和2)年、いまの白馬村森上の後藤敏氏という人が、白馬
岳に天照大神を祭り、天狗っ原に白馬岳神社の祠を建立しました。
いまも天狗っ原に祠が建っています。

続いて彼は、伊勢神宮の外宮(げぐう)の祭神である豊受大神(と
ようけのおおかみ・イザナミの神が病気のとき、その尿(ゆまり)
から出現した和久産巣日神(わくむすびのかみ)の子神。

天孫降臨の随伴神で、穀物、食物の神)の神霊を受け、白馬大池に
鎮め、池の中に厳島神社のそれにまねて鳥居を建てたということで
す。いまは朽ちてありません。

▼【データ】
【所在地】
・長野県北安曇郡小谷村。JR大糸線白馬駅からバス・栂池高原か
ら歩いて3時間で白馬大池。大池山荘がある。地形図に池名と山荘
建物記号の記載あり。山荘より東南方725mに乗鞍岳(標高点2456
m)がある。乗鞍岳の付近に記念碑の記号あり

【位置】(標高点、三角点)(電子国土ポータル)
・白馬大池:【緯度経度】北緯36度47分02.99秒、東経137度47
分46.7秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「白馬岳(富山)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)

【参考】
・「信州山岳百科・1」(信濃毎日新聞社編)1983年(昭和58)
・「北アルプス白馬連峰 その歴史と民俗」長沢武(郷土出版社)1
986年(昭和61)
・「アルパインガイド・27」(白馬岳・後立山連峰)(山と渓谷社)
1979年(昭和54)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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