山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼199号「北ア・上高地河童橋の河童」

【序文】
芥川龍之介の小説「河童」のヒントを得た河童橋は観光客でにぎわ
っています。この橋はいまの場所より上流の飛騨新道にかかってい
た与九郎橋だったという。1891年(明治24)ころ、この新道を大改
修したときに移設したのだそうです。元のところにはいかにも河童
がいそうな深い淵があったという。
・長野県松本市安曇

▼199号「北ア・上高地河童橋の河童」

上高地の名物・河童橋は、いまの場所よりもっと上流の飛騨新道に
かかっていた与九郎橋という橋だったという。1891(明治24)〜92
年ころ、この新道を大改修したときに、現在の場所に移設したそう
です。

その場所にはいまにも吸い込まれそうな深い淵があり、まるで河童
でも住んでいそうな感じだったそうです。そのため、河童橋という
名前がついたといいます。

橋の形も1922(大正11)年までは、山梨県大月市にある「猿橋」の
ようなはね橋だったそうです。

「……時刻はもう一時二十分過ぎです。が、何か気味の悪い顔が一
つ、円(まる)い腕時計の硝子(ガラス)の上へちらりと影を落と
したことです。僕は驚いてふり返りました。

すると、……僕が河童(かっぱ)というものを見たのは実にこの時
がはじめてだったのです。

僕の後ろにある岩の上には画(え)にあるとおりの河童が一匹、片
手は白樺の幹を抱(かか)え、片手は目の上にかざしたなり、珍し
そうに僕を見おろしていました……」。芥川龍之介が小説「河童」
のヒントを得た河童橋は、観光客で賑わっています。

▼【データ】
★【山名】
・異名:上高地(かみこうち)・神河内・上河内・神合地。

★【所在地】
・長野県松本市安曇(旧南安曇郡安曇村)。篠ノ井線松本駅の北西50
キロ。長野電鉄新島々駅からバスで上高地。歩いて20分で河童橋。
地形図に橋名のみ記載あり。付近に何も記載なし

★【位置】
・河童橋:北緯36度14分55.67秒、東経137度38分

★【地図】
・2万5千分の1地形図「焼岳(高山)」or「上高地(高山)」(2図
葉名と重なる)(国土地理院「地図閲覧サービス」から検索)

★【参考】
・「上高地物語」横山篤美(信州の旅社)1981年(昭和56)
・「上高地物語・続」横山篤美(信州の旅社)1991年(平成3)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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山旅イラスト【ひとり画通信】
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