山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼117号「南ア入り口・鳳凰三山地蔵岳」

【概略】
南アルプスの一番北端に鳳凰三山があります。鳳凰三山の鳳凰と
は山麓の清水山法雲寺のもとの山号だそうです。孝謙天皇にゆか
りがあり、その奈良法皇の転化したのだとの説があります。地蔵
岳との稜線に幕営しました。朝方、モーレツな風でとうとうポー
ルが折れてしまい、なすすべもありません。テントをたたむのも
そこそこに雪の中、かけつころびつ鳳凰小屋へ向かって駆け下り
ました。

▼117号 「南ア入り口・鳳凰三山地蔵岳」

南アルプスの夜叉神峠には荒ぶる神・夜叉神の伝説があり、その
石祠が残っています。ここから北へ薬師岳、観音岳、地蔵岳が続
き、あわせて鳳凰三山。

鳳凰とは山麓にある清水山法雲寺というお寺の山号・鳳凰山から
きたともいわれています。法雲寺は観世音菩薩、地蔵菩薩、薬師
如来の3尊を安置しており、3尊の名前をとり観音岳、地蔵岳、
薬師岳の山名をつけたという。

また法皇といわれる大日如来や、奈良法皇と呼ばれた孝謙天皇(女
帝)の法皇と同音の鳳凰に転化したのだとの説もあります。

11月末の山行は雪の中でした。観音岳を越えるころにははや夕方
になってしまいました。急きょ、地蔵岳との稜線に幕営。ほっと
してイッパイ…。あっ、ないっ。残念忘れたか。味気ない夕食を
とり、あきらめて寝袋に潜り込みました。

翌朝はモーレツな風。と、バシッ。とうとうポールが折れたので
す。あとはギシギシと風に揺すられ、なすすべもありません。や
っとの思いで外にはい出し、テントをたたむのもそこそこに雪の
中、かけつころびつ鳳凰小屋へ向かって駆け下りました。

あとで見たらテントの外張り(冬山など寒冷期に保温のため外側
にもう一枚重ねて張るもの)が穴だらけ。家に帰ってからの修理
に思わぬ出費をしました。やはり夜叉神は祟る!祠へのさい銭少
なかったか。鳳凰三山はサンザンでした。


▼【データ】
【山名・異名・由来・エピソード】地蔵ヶ岳・地蔵岳・地蔵仏、大
鳥ヶ岳、おおとんがり(大尖り)、ウェストンピーク。

【所在地】
・山梨県韮崎市と山梨県南アルプス市芦安(旧山梨県中巨摩郡芦安
村)、山梨県北巨摩郡武川村との境。中央本線韮崎駅の西13キロ。
JR中央本線韮崎駅からマイクロバス、青木鉱泉から歩いて6時間
30分で地蔵ヶ岳。写真測量による標高点がある。地形図に山名と標
高点の標高記載あり。

【位置】
・標高点::北緯35度42分43.28秒、東経138度17分55.37秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「鳳凰山(甲府)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)

【参考】
・「角川日本地名大辞典19・山梨県」磯貝正義ほか編(角川書店)1
984年(昭和59)
・「日本山名事典」徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成16)
・「日本歴史地名大系19・山梨県」(平凡社)1995年(平成7)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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