続・山の神々いらすと紀行
第9章 近畿の山々

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■03:役ノ行者の生家

【略文】
全国の山々80座以上も開山したとされる役ノ行者。修行の末、空
をも飛べるようになり仙人になり唐に渡ったという。生家はいまの
奈良県御所市の吉祥草寺。いまも行者の産湯の井戸や腰掛けの岩な
どがあります。行者が修行したという金剛山や大和葛城山などがそ
びえています。
・奈良県御所市

■03:役ノ行者の生家


【本文】

全国各地の山々80座以上も開山したと伝えられる役行者(役小角

・えんのおづぬ)は飛鳥時代の人。修験道の開祖で、のち奈良県金

峰山(きんぷせん)で蔵王権現を感得したといわれます。



行者は厳しい修行の末、空をも飛べるようになり、最後は仙人にな

って唐に渡ったと伝えます。平安時代に成立したといわれる『今昔

物語』に、「(文武)天皇の御代に役の優婆塞(うばそく)と申す聖

人おわしけり。大和の国葛上郡茅原(ちばら)村の人なり」(巻第

十一・第三)とあります。



行者の生家はいまの御所市茅原字中ノ坊にある吉祥草寺(きっしょ

うそうじ)だといわれます。吉祥草寺は茅原山金剛寿院と号す本修

験宗総本山。役ノ行者創建と伝えられる本山も平安時代に再建、の

ち南北朝時代の戦いで焼かれてしまったそうです。



JR和歌山線玉出(たまで)駅はまるっきりの田んぼの中の無人駅。

吉祥草寺は本尊を五大明王とし、本堂のほかに開山堂、観音堂、鎮

守社があり、いまでも行者が浸かった産湯の井戸や腰掛けの岩など

があります。



西側に目を向ければ玉手駅の向こうに行者が修行したという金剛山

や大和葛城山などがそびえていました。山岳修行に適した場所だっ

たのですね。



▼吉祥草寺【データ】
【所在地】
・奈良県御所市茅原字中ノ坊。和歌山線玉手駅から15分で吉祥草
寺。地形図に寺院記号のに記載あり。

【位置】
・吉祥草寺:北緯34度27分41.28秒、東経135度44分54.9秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「御所(和歌山)」or「畝傍山(和歌山)」(2
図葉名と重なる)


▼【参考文書】
・『役行者伝記集成』銭谷武平(東方出版)1994年(平成6)
・『今昔物語集』:日本古典文学全集24『今昔物語集1』馬淵和夫
ほか校注・訳(小学館)1995年(平成7)

 

03:役ノ行者の生家おわり
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