続・山の神々いらすと紀行
第5章 北アルプスの山々

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■17:高天原の鉱脈採掘ばなし

【略文】
北アルプス最奥の温泉高天原。かつて水晶岳斜面の金鉱掘削の鉱山
事務所があったという。持ち主は、星勇九郎というお方。水晶岳と
三ツ岳にトンネルを掘り、長野県大町市まで金鉱運搬の鉄道を引く
計画だったという。結局金鉱は出ずじまいだったという。
・富山県大山町

■17:高天原の鉱脈採掘ばなし


【本文】

北アルプス最奥の高原地「雲ノ平」(富山県)からさらに3時間の

山奥に高天原という所があります。温泉が流れる沢すじに露天風呂

があり、訪れる人の疲れをいやしてくれます。



このあたり、東側の水晶岳斜面に金鉱が出るという話があります。

かつては「大銅鉱山事務所」の建物があり、坑道もいくつかあった

といいます。



持ち主は、星勇九郎というお方。以前は仙台で官吏をしていました

が、ある夜「神のお告げ」があって、金の鉱脈があるこの場所を掘

り出します。



「埋蔵量は無尽蔵。水晶岳と三ツ岳にトンネルを掘り、長野県大町

市まで金鉱運搬の鉄道を引く」と息まきます。



この話にのった資本家がスポンサーになり、大勢の人夫を雇い掘削

をはじめましたが、結局金鉱は出ずじまい。何人もの資本家が食い

物にされたという。戦後間もない1949年(昭和24)ごろのおはなし

です。



8月、ひとり露天風呂につかります。沢すじを通る風が心地よい。

悠久とした時の流れ、意識が現実から離れます。「埋蔵金の夢を追

うのも悪くないかな……??」



▼高天原温泉【データ】
【所在地】
・富山県富山市(旧上新川郡大山町)。富山地方鉄道立山線立山駅
の南東20キロ。富山地方鉄道有峰口駅からバス折立終点下車、歩い
て15時間で高天原温泉。湯屋がある。地形図に温泉記号と建物記号
のみ記載。温泉記号より北方約390mに竜昌池があり、南方605mに
高天原山荘がある。標高2100〜2200mとされる。

【位置】
・高天原:北緯36度26分42.76秒、東経137度35分5.5秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「薬師岳(高山)」


▼【参考文献】
・『黒部の山賊・北アルプスの怪』伊藤正一(実業之日本社)1995
年(平成7)

 

▼17:高天原の鉱脈おわり
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