第4章 成人・就職
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【成人・就職】この章の目次
・成人(成人式、選挙権、酒、たばこ)
・就職(会社、株式会社、社長、会社の部門
名刺、給料、ボーナス)−p67−
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▼成 人
成人とは、青年期につづいて心身の発達を終え、一人前になった |
−p68−
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・成人式 毎年1月中旬の成人の日には自治体などが中心になって成人式を行 |
−p69−
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・選挙権
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−p70−
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・酒
成人になると晴れて酒やビールも飲めるようになります。未成年者は、 |
−p71−
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・たばこ
たばこも未成年のうちは1900(明治33)年の「未成年者喫煙禁止法」 |
−p72−
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・就職 職業
高校や大学を卒業し就職戦線のきびしい難間を突破、いよいよ社会 |
−p73−
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・会 社
会社は法人といわれるように法律上で人格を与えられている法の人、 |
−p74−
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・株式会社
株式会社とは、株式を発行して事業資金を集め、それを元手に活動
し、利益をあげることを目的とした会社。出資者は株主です。つまり株式
会社は株主で構成された会社です。
ではなぜ会社組織にするのでしょうか。会社組織にすると取引上のメリ
ットと税法上のメリットのふたつのメリットがあります。取引上のメリットは、
銀行から資金を借り入れたり、官庁や大企業に製品の納入をしたりする
際、取引相手先にとって、こちらが会社組織である方がずっと信頼性は
高くなります。
税法上のメリットは、個人企業の場合、所得が増加すればする程累進
課税が適用されますが、法人にした場合800万円を超える部分について
は、税額は一律34.5%となり、営業利益が多い企業では、会社組織の
方が税金対策上は有利です。
株式会社の設立方法には「発起設立」と「募集設立」の2つの方法があ
ります。発起設立は、家族や友人などが資本金を出し合って、会社設立
の際に発行する株式のすべてを引き受ける方法。なお、発起人は1人で
も会社を設立できるそうです。一方、募集設立は、多くの人たちから資金
を集めて設立する方法です。
会社を設立するには、1:チェックリストの記入 2:類似商号の調査 3
:目的の適格性の相談 4:払込金融機関の確保 5:発起人会議事録
6:定款の作成 7:定款の認証 8:株式払込 9:取締役会 10:
取締役、監査役の調査 11:登記申請 12:補正の確認 13:謄本印
鑑証明書の交付申請 14:金融機関での払戻等 15:税務署等への
届け 16:許認可申請について……と進めていくのだそうです。
(かつては発起人は7人必要でしたが、05年6月29日、第162回国会で
会社法(新会社法)が成立し、06年5月1日から施行され、資本金は1円
から、また1人でも設立できるようになったそうです)
−p75−
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・社 長
会社で一番エライのはもちろん社長です。それに副社長、専務取締
役、肩書きのつかないヒラの取締役とつづきます。ここまでが経営者・会
社役員で、ここから下は会社に雇われている従業員です。
商法という法律により、取締役を3人以上決め、その中から代表取締役
を選びます。代表取締役は1人とはとは限らず、2人でも3人でもいいの
だそうです。しかしそれではどの人が代表で一番エライのかわからなくな
るので、序列をはっきりさせるため社長、専務、常務などの地位をつくっ
たのだそうです。
代表取締役とは、商法上の株式会社(商法165条以下)において業務
を執行、対外的に会社を代表する権限をもつ取締役のこと。このような重
要なものなので、商法には「取締役になることができない人」という欠格事
由が定められているのだそうです(商法254条の2)。
その主なものをあげると「破産の宣告を受け復権していない者」、「特
定の刑に処せられその執行を終わった日等から2年を経過していない
者」などで、このような状況の人は、取締役または代表取締役になること
ができないのだそうです。
−p76−
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・会社の部門
入社試験に合格して、入社が決まると辞令が交付されます。「営業部
第三営業課勤務を命ず」などというアレです。大きな会社になると組織も
複雑になり総務、人事、庶務、労務、財務、経理、企画、販売などいろい
ろな課や部があって、部外者にはワケがわからないくらいです。
会社の組織は大きく分けると、物をつくる製造業・物を売る商業・労役
を提供するサービス業の3つに分かれます。この部門は会社の主要な受
け持つ部門であり「直接部門」と考えるのだそうです。その他の部門は
「間接部門」になります。間接部門は、総務・庶務・人事・労務・経理・財
務・企画・研究所・病院などだという。
直接部門は直接第一線に出る前線部隊。この部門が動かなければ売
り上げも上がらなければ利益も生まれません。また間接部門はそれ自
体、直接には利益を生むわけではありませんが、その働きによって直接
部門が効率よく動けるわけです。
こういう会社の組織部門に、ヒト・モノ・カネがそれぞれに配分され、組
み合わされて会社は仕事ができるという分けなのだそうです。
−p77−
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・名 刺
勤務する部署がきまると名刺を作って関係者に自分の名前を覚えても
らいます。
名刺がこの世にあらわれたのは16世紀のドイツというから、かなり古い時
代です。1560年、ベネチアにいたドイツの留学生が帰国するとき、世話
になった教授たちを訪問しました。その時、留守だった家には自分の名
前を書いた紙きれを置いてきたという。これが名刺の代わりになっていた
というのです。当時、留守のお宅には名刺を置いて帰る風習があったの
だろうというのですが、ホントかいな。
名刺が社交につかわれだしたのはフランスのルイ14世のころだそう
です。その後、名刺に街の風景画を入れたり、19世紀には写真を印刷
するようになります。フランスのデスディリという人はその特許をとったとい
います。
さて、日本で最初に名刺を使ったのは新見豊前守正興という人。この
人は、1860年(万廷元)幕府からアメリカに派遣された使節だそうです。
村垣範正、小栗忠順らと米艦で出航、米大統領ブカナンと会見し条約批
准書を交換します。当時、大小の刀をさしたチョンマゲ姿が、「あいやそ
れがしは…」と名刺を使っていたとは愉快ですネ。
−p78−
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・給 料
だれでも初給料はうれしいものです。はじめて自分で稼いだお金、両
親にプレゼントをする人もいるでしょう。江戸時代、武士は農民から年貢
をとりたて、年一回の扶持(ふち)として米を支給されました。その米を売
買業者の「札差し」に売って生活にあてていました。給料の「現物支給」
だったのですね。
しかし、明治になると役人や軍人、学校の先生も「食い扶持」を給料と
いうお金でもらうようになります。そして農民もお金で税金を納めるように
なっていきます。
その後、日本が工業国として発展するにつれ、給料で生活するサラリ
ーマンが増えていったのであります。いまは世の中サラリーマン社会。か
つてなんとかいう総理大臣は「人生いろいろ」などとおっしゃいましたよう
に、われわれ独立業は社会の隅で細々とくらしています。
さて、給料といえばいまはふつう銀行振り込みが利用されています。給
料を金融機関に振り込もうとするアイデアは戦前からもありました。これを
採用した第1号は当時の大蔵省のお役人です。
1941年(昭和16)の5月21日の月給日からだといいます。第2次大戦
に突入する7ヶ月前で、戦時態勢下での「百三十五億貯蓄強化週間」の
提唱・堆進役の同省がまず自分の所から率先して実施したものだそうで
す。
ただし、テストケースとして月収150円以上の高等官240人にしぼり、
給与の30%を本人の指定する郵便局か銀行に振り込みました。その総
額は目標の130億には問題にならない1万4128円。次の日の新聞には
「給料袋がやけに軽くなって心細い」との感想の記事が載っています。し
かしこの案もいつの間に立ち消えになってしまったという。
戦後も1975(昭和50)年になり、今度は全国銀行協会が10月20日を
期し実施と発表しました。これ以前にも銀行の本支店問のオンラインが整
った時あたりから個々の企業では振り込みが行われてはいましたが、労
働基準法のなかの「賃金は通貨で……」という項目がネックになり普及し
ていませんでした。しかし通帳も通貨の一部とする拡大解釈が生まれや
っと制度化したものだそうです。
−p79−
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・ボーナス
ボーナスは、「広辞苑」には@割増金。株式の特別配当金。A賞与。
特別手当。期末手当と出ています。@の方は奥さま方が、ダンナにかく
れてこっそり儲ける「株遊び」のこと。こちらでいうボーナスは、あくまで額
に汗(するのはもう古い??)して貰う、Aの方でまいります。
もともとボーナスとは「良いもの」という意味のラテン語だという。ごもっと
も,貰って悪いはずはありません。以前は賞与といい、会社が儲かった時
とか.生産能率をあげた時などに支給されたもの。一段とありがたかった
ワケであります。
さて日本でのボーナスの最初は1876年(明治9)、三菱商会が歳末賞
与を給与の約1ヶ月分を出したのが最初だとか。三菱商会とは岩崎弥太
郎が創立した三菱財閥のもとであります。
当時、海運界を独占していた三菱商会は、儲かって儲って…。それで
は社員にも利益の再配分をしようとこの年からボーナス制度を設置したも
の。
しかし、いまは年末、期末の手当としての意味になってしまいました。
ボケでもなんでもナスだナスだと大騒ぎです。
−p80−
(第4章「成人・就職」終わり)
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