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CD本『全国の山・天狗ばなし』(06)
【とよだ 時】

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▼京都鞍馬山から行司の天狗がやって来る
 東北朝日連峰・天狗角力取山


【略文】
山を歩いていると、「天狗」という字のついた地名を多く見かけま
す。ここ東北朝日連峰の主稜線のほぼ中央、寒江山近くに「天狗角
力取山」という山があります。この山頂には、3間(約5mあまり)
四方ほどの平らな砂利場があり、これが天狗が相撲をとる土俵だと
いう。
・山形県東田川郡朝日村と西村山郡西川町にまたがる。

▼京都鞍馬山から行司の天狗がやって来る
 東北朝日連峰・天狗角力取山



【本文】
 山を歩いていると、「天狗」という字のついた地名を多く見かけ

ます。天狗岳、天狗岩、天狗平などが多く、山名辞典などでみると、70

もの天狗の文字がならんでいます。そんな場所は地形が天狗の姿に

似ている所(安達太良山の天狗岩や中央アルプスの天狗岩など)。



 次に、そこが奇妙な地形になっている(山頂に花崗岩が風化した

白砂がしきつめられて土俵のように見えるところなど)。昔の人は、

そうした現象を天狗がもたらしたと考えたのでしょう。そして、そ

の地に実際に天狗が住んでいると思われていたようです。



 ここ東北朝日連峰の主稜線のほぼ中央、寒江山(かんこうざん)

近くの三方境から北へ延びる尾根に「天狗角力取山」(てんぐすも

うとりやま)という長い名前の山があります。この山頂には、3間

(約5mあまり)(1間は6.01尺、1尺は30.3センチなので545セ

ンチ)四方ほどの平らな砂利場があります。



 これが天狗が相撲をとる土俵だというのです。ここはいつも天狗

の羽根で掃かれたようにきれいになっています。面白いことに四隅

に村人が「土俵の四本柱」と呼ぶ、わざわざ置いたような大石もあ

ります。さらに北の端にも大きな石がひとつ砂利から顔を出してい

ます。この石は行司が控える場所だそうです。



 地元の言いつたえによると、正月10日の未明に、置賜地方(お

きたまちほう)と庄内、村山地方の天狗たちが相撲を取るためにこ

こに集まるという。そしてまたはるばる京都の鞍馬山から行司をつ

とめる天狗がやって来るという。相撲が終わったら餅をついて食べ

るため、間違っても正月の10日はこの山に登らないようかたく戒

めているという。



 ここは風の強いところで、しかも東風が西風にあおられて南に方

向を転ずるため、旋風を生じることがあるらしい。昔、ある猟師が

ここで野宿しているとき、真夜中に天狗の高笑いの声を聞いたとい

う話もあります。



 また天狗角力取山の南西に「二ツ石山」というピークがあります。

ここはその昔、朝日権現の天狗と月山権現の天狗とが、この山で法

力くらべをしたことがあるという。両方の天狗がありとあらゆる秘

術をつくしてわたりあいましたが、勝負がつかず、とうとう両方と

も精根つきて2つの石になってしまったということです。そのため、

この石は「天狗石」というのが正しいのだそうです。



 ついでながら、このあたりは「アオスス」(羚羊・れいよう・カ

モシカなどの類)のすむところでもあるという(『日本山岳風土記

5』)。「相撲取り場」で「デヤ沢」のアオススと、「ネコ沢」のア

オススとが逢い引きをするというロマンスの場所だという。



 この「デヤ沢」というのは東麓の「出谷川」のことでしょうか?

また、「ネコ沢」は西麓の「根子沢」のことでしょうか?冬の晴れ

た日などには、きらめく雪面にアオススが何頭もが集まって、角か

ら垂れたツララをゆらしながら、ジッとしていることがあるという。

まさに「アオの寒(かん)立ち」でここは「天狗の角力取山」はア

オススの楽園なのでしょうか。



 ちなみに「アオの寒立ち」とは、冬などに何時間もカモシカなど

が身じろぎもせずにいる様子。その理由ははっきりしていませんが、

カモシカなどは山中の斜面にすんでいるため、胃のなかの食物を反

芻(はんすう)するときに、寝ころぶところがなく、立ったままで

いるのではないかといわれています。



 さて、このあたり朝日岳ににつながる峰々には天狗が多くすみつ

いていたいう話があり、「天狗の爪」が現存するという。山形県朝

日町にある、ゆっくりと浮遊する大小60近い島を浮かばせる大沼

があります。



 ここは大正14(1925)年に「大沼の浮島」として国の名勝に指

定されています。この浮島は白鳳9年(680年)に山岳修験の祖、

役小角によって発見されたという。ここに浮島稲荷神社があり、朝

日権現の使いという「天狗の爪」が納められているというのです。



 伝説によると、「天狗の爪」は、300年前に月山のふもと(いま

の山形県西村山郡西川町月山沢集落)の山奥に、住んでいた相撲の

名人(白髪の老人だという)のものであるという。



 当時その集落に住んでいたある青年が、白髪の老人から相撲の秘

術を受けました。そして老人との分かれに際し、「今後ともいっそ

う精進努力するように」と「天狗の爪と髪の毛」と渡されたとされ

ています(『山岳宗教史研究叢書16』)。



▼天狗角力取山【データ】
【所在地】
・山形県東田川郡朝日村と西村山郡西川町にまたがる。山形駅から
バス、間沢乗り換え、大井沢バス停下車、バカ平から焼峰を経て3
時間30分で天狗角力取山。写真測量による標高点(1376m)と、
天狗小屋がある。
【位置】
・標高点:北緯38度21分45.79秒、東経139度54分49.09秒
【地図】
・2万5千分1地形図名:大井沢

▼【参考文献】
・『山岳宗教史研究叢書16』「修験道の伝承文化」五記重編 (名著
出版)1981年(昭和56)
・『新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・『日本山岳風土記5・東北・北越の山々』(宝文館)1960年(昭
和35)
・『日本山岳ルーツ大辞典』村石利夫(竹書房)1997年(平成9)
・『日本山名事典』徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成16)


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【とよだ 時】 山の伝承探査
山旅通信【ひとり画っ展】発行
U-moあ-と】すたじお
山旅はがき画の会
from 20/10/2000


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朝もよし、昼もなおよし晩もよし、その合間合間に、チョイとよし。