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山の与太ばなし【奥多摩のはなし】(09)
【とよだ 時】

 (イラスト本ではありません)

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奥多摩・大岳山の怪人鬼源兵衛

【前文】
奥多摩大岳山の神の申し子・源兵衛こと鬼源。五百貫(約2トン)

もの大石を持ち上げる怪力が恐れられ「鬼源」とも呼ばれていまし

た。鬼源は玉川上水の開削工事に大活躍、工事はみるみるうちに完

成。しかし大岳山が見えないとからきしだめだったという。

・東京都檜原村の出身だという。

下記の【本文】もどうぞ。

奥多摩・大岳山の怪人鬼源兵衛



【本文】

 江戸初期の末ごろ、奥多摩の大岳山の麓の檜原村白岩(しらや)

いうところに、鬼源兵衛と呼ばれるほど強力でならした男の子がいた

という。この男は目玉がなみはずれて大きいので、目玉のたんじとも呼ば

れました。鬼源兵衛の父母には何人かの子どもがいましたが、どういう訳

か、みな早く世を去ってしまったという。



 両親は悲しみ、また子どもが授かるよう、ふだん崇める大岳山の大岳

神社にお百度をふみました。3、7、21日のの間、願かけをしたお陰か、

満願の日に元気な男の子が授かりました。男の子は源兵衛と名づけら

れ、スクスクと育ちました。



 源兵衛は、大岳山の申し子らしく、大人になるころには50人力もの怪

力が出せたという。また五百貫というから2トン近くもある大石を持

ち上げたという本もあります。そんな怪力が恐れられ「鬼源」とも

呼ばれていました。



 この話は本当のことらしく、「鬼源」が大活躍した話があります。

1653年(承応(じょうおう)2)(1653・江戸前期)、江戸の水不足解消

のため、玉川上水の開削が行われました。玉川上水は、多摩の羽村

地区から都心の四谷までの全長43kmにおよぶ大工事。



 工事の総奉行は、老中で川越藩主の松平信綱、水道奉行は伊奈忠

治(没後は忠克)がつき、玉川兄弟の玉川庄右衛門・玉川清右衛門が工

事を請負いました。



 この工事で、玉川兄弟から羽村堰工事人足として、檜原村へ25人

の人夫出役の割り当てがありました。この時、この25人分の代役を源兵

衛がひとりで引き受けたというのです。驚いたのは幕府の出張役人。たっ

たひとりで25人分の仕事をするというのですから、役人は話を疑いまし

た。が、一応仕事ぶりを見てみようと考えました。



 工事はいま、竹林を掘り起こしの真っ最中でした。人夫はみんな鍬で

竹を掘ってはまた一本掘って取りのぞいています。しかし源兵衛は、素

手のまま草を取るように、引き抜いてはまた引き抜いているのです。





 また堰どめ石の工事では、大きな石の下敷きになった同僚をなん

なく助けたり、大石をひょいと持ち上げ、小石でも投げるように、ポ

ンポン対岸から投げ込んでいます。石を1個1個持ち運んでいるふつう

の人夫とは大違いです。



 この働きぶりを見て役人は仰天。源兵衛は幕府から褒賞品刀匠和泉

大掾(だいじょう・江戸時代前期の彫刻家)作の名刀を授与されました。こ

のほか源兵衛には、「小河内の山姥退治」の話しもあります。



 そのころ、この地方では年貢を上納する途中で盗賊団に襲撃される事

件がたびたびありました。その盗賊団の主稜は女性で、人々は「山姥」と

呼び恐れました。源兵衛はこの一団を、三頭山近くの風張峠から遠矢で

退治したというのです。



 その鬼源兵衛が持ち上げたという力石が、あきる野市草花地区の

八雲神社(通称天王様)の境内にあるという。ただこの源兵衛の武

勇伝、怪力は大岳山が見える所でないと力が出なかったというからおも

しろい。



 ちなみに玉川上水羽村堰工事は幕府から渡された費用6000両。し

かしこれではとてもまかないきれず、不足分は工事をまかされた玉

川兄弟が出したという。その上、工事が完成すると、幕府は兄弟か

ら上水役を取り上げ、江戸払いにしたそうです。どんなことがあっ

たのでしょうか。



▼大岳山【データ】
【所在地】
・東京都奥多摩町と西多摩郡檜原村との境。青梅線御獄駅の南西6
キロ。JR青梅線御獄駅からバス、滝本からケーブル、御岳山駅か
ら歩いて2時間15分で大岳山。二等三角点(高1266.5m)がある。
直下に大岳神社がある。三角点より東方向直線約200mに大岳神社
がある。
【位置】
・二等三角点:北緯35度45分54.87秒、東経139度07分49.5秒
【地図】
・2万5千分の1地形図「奥多摩湖(東京)」or「武蔵御岳(東京)」
(2図葉名と重なる)。
【参考】
・『奥多摩風土記」大館勇吉著(武蔵野郷土史研究会)1975年(昭和
50)
・『角川日本地名大辞典13・東京都』北原進(角川書店)1978年(昭和
53年)
・『新編武蔵風土記稿6』(巻之112):『大日本地誌大系・12』蘆田伊人
編(雄山閣)昭和45(1970)年
・『日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫(竹書房)1997年(平成9)



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▼【16】青森県の天狗:・恐山常陸坊海尊
▼【17】岩手県の天狗:・南昌山盛念坊 ・羽黒山清鏡荒神 ・早池峰山遠野郷清六
▼【18】秋田県の天狗:・太平山三吉神
▼【19】宮城県の天狗:なし
▼【20】山形県の天狗:・羽黒山・蜂子皇子・羽黒山三光坊・羽黒山・水天狗円光坊・摩耶山醍醐坊
▼【21】福島県の天狗:(なし)
▼【22】栃木県の天狗:・日光山東光坊・古峰ヶ原隼人坊
▼【23】茨城県の天狗:・筑波法印・阿波大杉明神・加波山岩切大神・紫尾山利久坊・加波山天中坊
 ・岩間山十三天狗
▼【24】群馬県の天狗:・赤城山杉ノ坊・上野妙義坊・妙義山日光坊・金洞山長清法印・相馬ヶ岳相満坊
 ・榛名山満行坊・迦葉山中峰尊者
▼【25】埼玉県の天狗:・両神山刀利天坊・八海山大頭羅神王・秩父岩船山天狗坊・破風山ノッキン坊
▼【26】東京都の天狗:・高尾山飯縄権現・奥多摩・武州御岳桜坊
▼【27】神奈川県の天狗:・丹沢相模大山伯耆坊・阿夫利山道昭坊・箱根・大雄山道了薩た
▼【28】千葉県の天狗:・夷隅権現坊
▼【29】新潟県の天狗:・(なし)
▼【30)長野県の天狗:・御嶽山六尺坊・御嶽三笠山刀利天坊 ・御嶽八海山大頭羅坊
 ・御嶽阿留摩耶山アルマヤ坊・飯縄山飯綱三郎・飯縄山千日太夫・浅間山金平坊
 ・皆神山・侍従坊
▼【31)山梨県の天狗:・七面山伽藍坊・身延山妙法神・茅ヶ岳江草孫右衛門・茅ヶ岳金ヶ岳新左衛門
 ・富士小御岳正真坊
▼【32)静岡県の天狗:・富士太郎・竜爪(そう)権現・秋葉山三尺坊・奥山半僧坊・天城山万二、万三郎
 ・達磨山番太郎坊・光明山利鉾坊・大日山繁盛坊・無間山一寸坊・竜雲寺福天坊
▼【33】愛知県の天狗:・ (なし)
▼【34】富山県の天狗:・立山縄乗坊・立山光蔵坊・大家庄天然坊・大家庄名観坊・大家庄虚目坊
▼【35)石川県の天狗:・医王山光徳坊・黒壁山九万坊
▼【36)福井県の天狗:・白山御前峰泰澄上人・白山白峰大僧正・白山正法坊
▼【37】岐阜県の天狗:・(なし)
▼【38)滋賀県の天狗:・比良山次郎坊・伊吹山飛行上人・横川覚海坊・竹生(ちくぶ)島行神坊
 ・綿向山光林坊・多賀ノ森生玉坊・伊吹山金谷長円坊・松ヶ崎普門坊
▼【39】三重県の天狗:・名古屋八事(やごと)山諦忍・多度山一目連・応徳毘多神・薩和羅神
 ・伊賀小天狗清蔵
▼【40】奈良県の天狗:・役ノ行者・奈良大久杉坂(さんはん)坊・吉野皆杉(かいさん)小桜坊
 ・大峰前鬼後鬼・大峰菊丈坊・大峰金平六
▼【41】和歌山県の天狗:・高野山高林坊・高野山妙音坊
▼【42】京都府の天狗:・鞍馬本尊魔王大僧正・笠置山大僧正・愛宕山栄術太郎・鞍馬山僧正坊
 ・高雄内供奉・比叡山法性坊・如意ヶ嶽薬師坊・岩屋山金光坊・鞍馬十天狗神・愛宕山八天狗社
▼【43】大阪府の天狗:・天満山三尺坊・天岩船檀特坊・堺ノ浦太郎坊
▼【44兵庫県の天狗:・(なし)
▼【45】岡山県の天狗:・児島吉祥坊
▼【46】鳥取県の天狗:・伯耆大仙清光坊・大原住吉劒坊
▼【47】島根県の天狗:・都度沖普賢坊
▼【48】広島県の天狗:・厳島三鬼坊・山本五郎左衛門・神野悪五郎・宍戸司箭坊
▼【49】山口県の天狗:・長門普明鬼宿坊
▼【50】香川県の天狗:・白峰相模坊・象頭山金剛坊・五剣山中将坊・象頭山趣海坊
▼【51徳島県の天狗:・(なし)
▼【52】高知県の天狗:・蹉?(さた)山放主坊・白髪山高積坊
▼【53】愛媛県の天狗:・石鎚山法起坊
▼(54】福岡県の天狗:・高良山筑後坊・英彦山豊前坊・宰府高垣高森坊・彦山木練坊・求菩提山次郎坊
▼【55佐賀県の天狗:・(なし)
▼【56長崎県の天狗:・(なし)
▼【57】熊本県の天狗:・肥後阿闍梨
▼【58】大分県の天狗:・釈魔ヶ岳日隠太郎
▼【59】宮崎県の天狗:・日向尾股新蔵坊
▼【60】鹿児島県の天狗:・屋久島一品宝珠権現・硫黄ヶ島ミエビ山王・硫黄ヶ島ホダラ山王
 ・鬼界ヶ島伽藍坊・海門(開聞)岳武山魔神
▼【61】:沖縄県の天狗:・(なし)
▼【62】全国行脚:・大太法師・黒眷属金毘羅坊
▼【63】不詳の天狗:・板遠山頓鈍坊
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