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CD本【新・山の神々いらすと紀行】(10)
とよだ 時(とよた時)

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東北・早池峰山の七不思議

【概略】
 早池峰山には「早池峰山中の七不思議」があります。「早池峰詣」
という本によれば時々山中で見聞きする不思議な現象に、1天灯、
2竜灯、3お田植え場の早乙女の声、4竜ヶ馬場の駒の声、5鶏頭
山の鶏の声、6安倍貞任の軍勢の音、7河原坊の誦経の声がありま
す。

 また『奥州南部早池峰山縁起』には、1早池峰権現誕生、2早池
峰山山頂の霊泉、3田植場の田植え歌、4竜ヶ馬場の馬のいななき、
などがあります。

 ある夏、河原坊キャンプ場にテントを張りました。ここは「河原
坊の誦経の声」の聞こえるという場所です。神秘的な気分のなかで
耳を澄ましてみました。一瞬、読経の声が聞こえたような気がしな
いでもありません。しかし、それは近くにいるカップルの声でした。

 楽しそうなその声は、一段と大きくなってきました。いつまで経
っても止む気配がありません。とうとう一晩中うるさく、七不思議
もヘチマもなくなってしまいました。
・岩手県花巻市と同県宮古市との境。

▼東北・早池峰山の七不思議

【本文】

 540種といわれる高山植物の宝庫早池峰山(1914m)は、咲き誇
る花々を一目見ようと登山者でにぎわいます。平安時代初期の開山
といわれるだけあって、不思議な伝承がたくさん残っています。


 そのひとつに「早池峰山中の七不思議」があります。「早池峰詣」
という文書によれば、時々、山の中で見たり聞いたりする不思議な
現象があるといいます。それは(1:天灯、(2:竜灯、(3:お田
植え場の早乙女の声、(4:竜ヶ馬場の駒の声、(5:鶏頭山の鶏の
声、(6:安倍貞任の軍勢の音、(7:河原坊の誦経(しょうけい)
の声、があります。


 また「奥州南部早池峰山縁起」では、(1:早池峰山開山の時の
不思議な早池峰権現誕生。(2:早池峰山山頂の霊泉。(3:田植場
から聞こえる田植え歌。(4竜ヶ馬場の馬のいななき。(5山中で聞
くニワトリの声。(6参詣人が不信不行跡すると天気が急変したり
道に迷ったりする。(7:信仰心のあついものには白雲が金色に輝
き、神仏の姿を見ることができるとあります。


 このうち、(1は神社の縁起では開山時、目もくらむような金色
の光明とともに神霊があらわれたというもの。(2の妙泉は、水が
甘く干ばつでも涸れずどんなに雨が降ってもあふれない。ただ、汚
い器でくむと水がなくなるが、お経を唱えれば、たちどころに湧い
てくる。その早さをとって、早池峰山の名前になっているのだとい
います。


 また、いまの遠野市附馬牛地区東禅寺境内にある清水は、山頂の
池の水を分けてもらっているのだという。ある時、寺の和尚が早池
峰山に登ると、白馬が現れました。大急ぎでその姿を描き写します
が、左耳を描きおわらないうちに馬の姿が消えてしまいました。


 その絵をご神体にしたのが早池峰神社境内の駒形神社。そのため、
ここで出す神に奉納する「馬形」は、いまでも左の耳がないのだそ
うです。これらの七不思議のなかで「早池峰詣」にある(7:河原
坊の誦経の声があります。


 ある年の8月、早池峰山河原坊に行きました。バス終点やビジタ
ーセンターの目の前がキャンプ場です。少し世俗っぽい開けた感じ
ではありますが、今夜一晩、そんな気分に浸って見ようとテントを
張ることにしました。テント場は先日降った雨で、水溜まりだらけ
になっています。


 それでもほかに若いカップルが一組のみ。夕方になり暗くなって
きました。アルコールを傾けながら、神秘的な気分のなかで耳を澄
ましてみました。一瞬、読経の声が聞こえたような気がしないでも
ありません。


 しかし、それは近くにいるカップルの声でした。ふたりだけがよ
ほど楽しいのか、一段と声が大きくなってきました。いつまで経っ
ても止む気配がありません。とうとう一晩中うるさく、七不思議も
ヘチマもなくなってしまいました。



▼河原坊キャンプ場【データ】
【所在地】
・岩手県花巻市大迫町(おおはさままち)。JR花巻駅からバスで
終点河原坊。駐車場と、ビジターセンターがある。
【位置】
・河原坊:北緯39度32分27.19秒、東経141度28分42.8秒
【地図】
・2万5千分の1地形図「早池峰山(盛岡)」


▼【参考】
・「奥州南部早池峰山縁起」(早池峰山縁起):『山岳宗教史研究叢
書・17』(修験道史料集・T)五木重編(名著出版)1983年(昭和58)
収納
・『山岳宗教史研究叢書・7』(東北霊山と修験道)月光善弘編 (名
著出版)1977年(昭和52)
・『東北の山岳信仰』岩崎敏夫(岩崎美術社)1996年(平成8)
・『遠野物語』柳田国男(ちくま文庫・柳田国男全集4)(筑摩書店)
1989年(平成元)
・「定本附馬牛(つきもうし)村誌」附馬牛村(岩手県)誌編纂委
員会著(附馬牛村役場)1954年(昭和29)
・「早池峰詣」:『山岳宗教史研究叢書16』「修験道の伝承文化」五
記重編 (名著出版)1981年(昭和56)



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【とよだ 時】 山と田園風物漫画
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 (主に画文著作で活動)
【ゆ-もぁ-と】事務所
山のはがき画の会
from 20/10/2000


 

 

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