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CD本【新・山の神々いらすと紀行】(09)
とよだ 時(とよた時)

CD本あります(イラスト本ではありません)。

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▼長野県・伝説の姨捨山

【略文】
『大和物語』や『今昔物語』にでてくる姨捨伝説は有名です。しか
し姨捨山というのは別名で、正式には冠着山というそうです。山頂
広場に冠着神社がある。神社裏にある石の祠は冠着山権現をまつっ
てあります。ここは天手力男命(たぢからおのみこと)が、天の岩
戸を背負ってやってきて、ずれた冠を着けなおしたところだという。
・長野県千曲市と筑北村との境。

▼長野県・伝説の姨捨山

【本文】
 長野県内JR篠ノ井線冠着駅の近くに姨捨(おばすて、うばすて)
山という山があります。この山は姨捨伝説の舞台になっているとこ
ろ。

 「信濃の国更級(さらしな)という所に、男すみけり……」『大
和物語』の姨捨(おばすて)伝説は、親代わりの老いたおばを捨て
てくるようにと、腹黒い嫁にせめられた夫が、一度はおばを山にお
き去りにしてはみましたが、思いあまって連れもどすという話です。

 『今昔物語』にも「今昔(いまはむかし)、信濃ノ国更科(さら
しな)ト云フ所ニ住ム者有ケリ。年老(としおい)タリケル姨母(を
ば)ヲ家ニ居(す)ヘテ、祖(おや)ノ如クシテ養(やしなひ)テ、
年来相副(としごろあひそひ)テ過(すぐ)シケルニ………。

 婦(よめ)ハ弥(いよい)ヨ此ヲ厭(いとひ)テ…夫(をうと)
ニ、「此(こ)ノ姨母(をば)ノ心ノ極(きはめ)テ(外字・立心
偏+悪・にく)キニ、深キ山ニ将行(いてゆき)テ棄テヨ、ト云ケ
レドモ、夫(をうと)糸惜(いとほし)ガリテ不棄(すて)ザリケ
ルヲ、妻(め)強(あながち)ニ責云(せめいひ)ケレバ、夫(を
うと)被責(せめら)レ侘テ…(『今昔物語』信濃国姨母棄山語第
九)」。

 早い話が姨母を親同様に扶養していた男が、妻に責めたてられや
むなく姨母を山に捨てましたが、家に帰り、後悔の念にかられ連れ
戻しに行った話です。されば、新しい妻の言いなりになって、つま
らぬ心を起こしてはならぬ。

 ……それ以後、その山を姨母捨山というようになった。慰めがた
いというたとえに姥捨山というのはこの故事に基づいた。この山は
以前は冠山(かんむりやま)といっていた。冠の巾子(こじ)に似
ていたからだと語り伝えているということだ。と結んでいます。

 しかし、姨捨山というのは別名で、正式には冠着山(かむりきや
ま)いうんだそうです。山頂広場の杉の大木のわきに冠着神社があ
って、更級郡戸倉町方面を向いて建っています。

 また、神社裏手くぼ地にある石の祠は冠着山権現をまつってある
といい、東筑摩郡坂井村側を向いています(祠はふつうまつった集
落方面を向けてあります)。冠着(かむりき)とは、頭にのせる冠
を着ける意味。

 『古事記』にある「天の岩戸がくれ」の時活躍したあの天手力男
命(あめのたぢからおのみこと)が、天の岩戸を背負ってやってき
てこの山で休んだ時、ずれた冠を着けなおしたのが名前の由来との
こと。ここはまた、名月の山としても有名で、『古今和歌集』など
にもうたわれている名所です。


▼姥捨山【データ】
【所在地】
・長野県千曲市戸倉(旧埴科郡戸倉町)、同県千曲市上山田(旧更
級郡上山田町)、同県東筑摩郡筑北村(旧東筑摩郡坂井村)との境。
しなの鉄道戸倉駅の西5キロ。JR篠ノ井線冠着駅から歩いて1時
間30分で冠着山(かむりきやま・姨捨山)。三等三角点(1252.2m)
と冠着神社がある。地形図に山名冠着山(かむりき・姥捨山)と三
角点の標高と神社記号(鳥居)の記載あり。
【位置】
・三角点:北緯36度28分07.7秒、東経138度06分23.9秒
【地図】
・2万5千分の1地形図「麻績(長野)」


▼【参考文献】
・『角川日本地名大辞典20・長野県』市川健夫ほか編(角川書店)
1990年(平成2)
・『古今和歌集』(古今集とも)平安時代初期の延喜5(905)年成
立か。最初の勅撰和歌集。醍醐天皇の勅命によって、紀貫之(きの
つらゆき)、紀友則(とものり)らが編集
・『今昔物語』:日本古典文学全集24『今昔物語4』馬淵和夫ほか
校注・訳(小学館)1995年(平成7)
・『信州山岳百科・1』(信濃毎日新聞社編)1983年(昭和58)
・『新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・『遠山奇談』(とおやまきだん)(浄林坊辨惠著)筆名華誘居士(江
戸時代後期成立):『日本庶民生活史料集成』第16巻(奇談・紀聞)
(山一書房)1989年(平成元)
・『日本山名事典』徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成4)
・『日本伝奇伝説大事典』乾克己ほか編(角川書店)1990年(平成
2)
・『日本歴史地名大系20・長野県の地名』平凡社)1979年(昭和54)
・『大和物語』(百五十六):校注古典叢書『大和物語』安倍俊子・
校注(明治書院)2001年(平成13)



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【とよだ 時】 山と田園風物漫画
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 (主に画文著作で活動)
【ゆ-もぁ-と】事務所
山のはがき画の会
from 20/10/2000


 

 

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