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【新・ふるさとの神々なんでも事典】(09)
【とよだ 時】漫画家(駄画師)、ゆうもぁ画文業

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◆こんな話みつけました◆

▼ふたつある大江山の鬼伝説

【略文】(140字)
酒呑童子の大江山には鬼退治伝説が2つあります。ひとつは、用明
天皇第3皇子麻呂子親王伝説で、もうひとつは御伽草子の『酒呑童
子』などで知られる源頼光伝説です。頼光伝説はこの山に砦を造り、
付近の農民を苦しめた酒呑童子を頼光らの6人が討ったという物
語。同じ伝説が京都市の大枝山にもあり、混同されることが多いよ
うです。
・京都府大江町と加悦町との境。

▼ふたつある大江山の鬼伝説

【本文】

 酒呑童子(しゅてんどうじ)の鬼伝説で有名な京都の大江山は、

仙丈ヶ嶽、大枝山、与謝大山(よさおおやま)、御嶽などとも呼ば

れています。仙丈ヶ嶽の山名は、東側の山腹に千丈ヶ原という広大

な湿原があり、山名はそこからきているようです。



 大江山には鬼伝説が2つあり、ひとつは、用明天皇第3皇子麻呂

子親王の鬼退治伝説で、もうひとつは室町時代に書かれた源頼光の

鬼退治伝説です。先のものは『古事記』や『日本書紀』にあり、第

三十一代とも第三十二代といわれる用明天皇第3皇子麻呂子親王

が、仏神の力を借りて平定したというもの。



 あとの方のものは室町時代に書かれた『御伽草子』(おとぎぞう

し)の「酒呑童子」、謡曲「羅生門」、「大江山」などで知られる源

頼光鬼退治伝説。ここでは酒呑童子は山賊だとも鬼だともいわれ、

この山に砦を造り、付近の農民を苦しめたので、源頼光がこれを討

ったという物語。



 いまも鬼ヶ茶屋とか、鬼の岩屋などの地名が残っています。同じ

伝説が京都市の大枝山にもあり、混同されることが多いようです。

まして大江山の別名にも大枝山があるのでなおさらです。このあた

りは、古くから開かれた地で、東ろくに皇大神社や豊受大神社が鎮

座し、崇神天皇の時代にここから伊勢に遷宮した元伊勢とも伝えら

れています。また修験道の地ともなり、鬼嶽稲荷神社が山頂近くに

あります。



 この酒呑童子の話がちまたに広まりはじめたのは、室町中期以降

とかで、謡曲『大江山』、『大江山絵詞』、御伽草子の『酒巓童子』

などが、大体同じ時期に出そろったらしいとのこと。しかしそれぞ

れのストーリーが大体共通しており、それより古い時代から言い伝

えがあったのではないかといわれています。



 酒呑童子の大体のあらすじは、大江山の岩屋に城をかまえた酒呑

童子は、手下の鬼たちと都へ出て財宝や娘たちをさらっていったり

のし放題、都は極度の不安におちいっていました。



 池田中納言の娘もさらわれ、源頼光とその家来の四天王(渡辺綱、

碓井貞光、卜部季武(すえたけ)、坂田金時)と藤原保昌らの6人

は、山伏姿に身を変えて鬼退治に出かけます。途中で3人の老人(実

は住吉・熊野・八幡の神々)に、鬼が飲めば毒になる神変奇特酒を

もらい、神々の助けで城に入ります。



 一行は道に迷った山伏というふれこみで、酒呑童子に近づき酒を

飲ませ、童子の首を斬りましたが首だけになっても襲ってきます。

それを何とか手下ものとも征伐します。鬼が捕えられていた娘たち

を助け、かすめられていた財宝も奪い返し、これで都は平安になっ

たということです。



 ところで酒呑童子は何者なのか。『御伽草子』は、この童子の素

性・来歴について、「本国は越後の者、山寺育ちの児なりしが、法

師にねたみあるにより、あまたの法師を刺し殺し、その夜に比叡の

山に着き我すむ山ぞと思ひしに、伝教といふ法師仏たちを語らひて、

わが立つ杣とて追ひ出す。力及ばず山を出て」その後、高野山を経

て大江山に籠もるに至ったという。そんなこんなで酒呑童子のもと

は、「捨て童子」からきたものとの説もあります。



 『柳田国男全集・4』「山の人生」には『越後名寄』(巻三十三)

その他によれば、酒呑童子は越後の西蒲原郡砂子塚(いさこづか)

または西川桜林村出身と称し、幼名を外道丸という美童で、父の名

は否瀬善次兵衛俊兼。戸隠山九頭竜権現の申し子で母の体内に16ヶ

月もいたとあります。



 酒呑童子の名前については、謡曲『大江山』には、酒呑童子の名

前のいわれを聞かれて、「明暮酒を好きたるにより、眷属どもに酒

呑童子と呼ばれ候」とあり、朝から晩まで酒を飲んでいたようです。

その他の諸本にも酒呑みの故に「世の人しゅ天どうじとぞ名づけけ

る」といったとあります。また酒呑童子は酒巓童子とも書かれます。

酒呑はただの大酒飲みですが、酒巓となると酒巓は酒好きを通り越

して酒狂、酒乱の域にはいるという。



 不思議なのは「童子」です。どう見ても普通にいう「わらべ」で

はありません。ここにいう童子とは年をくった寺小姓のことだそう

です。寺の長老たちの共をつとめる稚児です。普通は修行して僧侶

となるのですが、なかにはなりそびれる者もいたという。彼らは20

歳を過ぎると中童子と呼ばれ、さらに年をくった大童子になっても、

童子姿のまま髪は惣髪、衣装も派手な稚児姿のままです。



 次第に寺に居づらくなり外に出ても、そう簡単には地道にはいき

ていけるものではありません。そんなとき、あたかも世は、平安中

期から後期にかけて、王朝政治が飽和状態に入り、貧富の差がその

極限に達し、不満と無気力が充満、夜盗や山賊の集団が目立ってき

ました。その仲間に、大童子、中童子が入り込みます。僧侶になり

損ねとはいえ、読み書きはナントカできる彼らは、次第に盗賊の首

領になっていったのではないかとされています。



 大江山の賊はみな童子鬼だったとの説もあります。鬼とくればふ

んどしは虎の皮です。しかし、手下までは虎の皮が行き渡りません。

そこで「大江山手下は猫の皮を締め」などの川柳が生まれます。ま

た「大江山青鬼酔って媚茶色(こびちゃいろ)」、「赤鬼は一杯過ぎ

て白くなり」。源頼光の四天王たちが鬼一族と大乱闘したときのこ

と、「金時はくわへ煙草で角をもぎ」とあるから坂田の金時も余裕

だったようです。



 『今昔物語集』(巻二十九第二十三)「具妻行丹波国男於大江山被

縛語第二十三」(めをぐしてたんばのくににゆくをとこおほえやま

にしてしばらるることだいにじふさむ)にこんなのがあります。「今

昔(いまはむかし)、京ニ有(あり)ケル男ノ、妻(め)ハ丹波ノ

国ノ者ニテ有ケレバ、男其ノ妻(め)ヲ具シテ、丹波ノ国ヘ行(ゆ

き)ケルニ、妻(め)ヲバ馬(むま)ニ乗(のせ)テ、夫(をうと)

ハ竹蠶簿(たけえびら)ノ箭(や)十許(とをばかり)差(さし)

タルヲ掻負(かきおひ)テ、弓打持(うちもち)テ後ニ立(たち)

テ行ケル程ニ、大江山ノ辺(ほとり)ニ、若キ男ノ大刀許(ばかり)

ヲ帯(おび)タルガ糸(いと)強気(つよげ)ナル、行烈(ゆきつ

れ)ヌ。」



 …つまり…今は昔、京にすむ男が、妻は丹波国の者だったので、

その妻を連れて丹波に出かけたが、妻を馬に乗せ、……強そうな男

と道連れになった。………妻と同伴で丹波国へ下った男が大江山の

あたりで道連れになった男に気を許し、欲にかられて弓矢を相手の

太刀と交換したばかりに、道連れの男に弓矢でおどされて木に縛ら

れ、眼前で妻を強姦された話。



 犯行後、道連れの男は馬を奪って逃走したが、女に情けが移って

その着衣も奪わず、夫の命も助けてやった。醜態をさらした男は、

妻にまで愛想尽かしをされたが、そこはよくしたもので、夫婦分か

れもせず、また連れだって丹波への旅をつづけたということです。



 大江山にはこんな話もあります。宮中で歌の会があり、女流歌人


和泉式部の娘、小式部内侍も、出席することになった。中納言藤原

定頼は、母親が娘の代作をしているのではないかとの疑いをもち、

母親が夫の任地である丹後の国へ行って留守なのを知って、さぞ娘

は困っているに違いないと思い「丹後へ使いを出しましたか。お母

さんがいなくて、さぞ心配でしょう」と皮肉りました。お母さんに

つくって貰えなくて大変でしょうといわれたのも同じこと。



 そこで小式部はその場で歌をつくり、「大江山いくのの道の遠け

ればまだふみもみず天橋立」(遠いのでまだ天橋立は行ったことが

ありません)と、返事をしました。その裏には、まだ母からの文(手

紙)を見ていないことが融合されているのを知り、なるほど母に歌

をつくってもらっているのではなく、娘も名人であることが分かっ

て中納言は恥をかいてしまったという。この歌は、小倉百人一首に

入れられています。




▼大江山【データ】
【所在地】
・京都府大江町と加悦町との境。福知山市大江町の鬼嶽稲荷神社ま
でタクシー、歩いて1時間で千丈ヶ嶽。2等三角点(832.4m)が
ある。
【位置】
・三角点:北緯35度27分12.49秒、東経 135度6分24.00秒
【地図】
・2万5千分の1地形図:大江山。

▼【参考文献】
・『御伽草子』:日本古典文学全集(校注・訳大島建彦)(小学館)
・『鬼の研究』知切光歳著(大陸書房)1978年(昭和53)
・『角川日本地名大辞典26・京都府・上』(角川書店)1991年(平成
3)
・『今昔物語集4』馬淵和夫ほか校注・訳(小学館・古典文学全集)
1995年(平成7)
・『新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・『日本鬼総覧』(歴史読本特別増刊)(新人物往来社)1995年(平
成7)
・『日本山名事典』徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成16)
・『日本伝奇伝説大事典』乾克己ほか編(角川書店)1990年(平成2)
・『日本伝説大系8・北近畿』(滋賀・京都・兵庫)福田晃ほか(み
ずうみ書房)1988年(昭和63)
・『山の人生』柳田国男:『柳田国男全集4』(筑摩文庫)1989年(昭
和64・平成1)




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▼【01】:天狗の遺物(ミイラ、詫び状文)
▼【02】:天狗のはじめ(天狗とは)
▼【03】:天狗の種類
▼【04】:天狗界往来者(神城騰雲・仙童寅吉)
▼【05】:神城騰雲の天狗の世界
▼【06】:寅吉の天狗の世界:・天狗はどんな姿をしているか・天狗攫い、引き裂いたりするか
 ・天狗の食べ物・天狗の寿命・天狗も寝るか、夢を見るか・天狗空を飛ぶ・うちわの使い方
 ・どこまで飛べる
▼【07】:本当に天狗の仕業?「太平記の記述」:・六本杉の天狗評定と天狗集会
▼【08】:役ノ行者と天狗:・山上ヶ岳・役ノ行者の生家・役ノ行者と岩橋・役ノ行者開山の山々
▼【09】:山移り
▼【10】:不思議な女性天狗
▼【11】:河童に近い川天狗(丹沢湖畔)
▼【12】:鼻高天狗と飯縄天狗
▼【13】:天狗経と四国石鎚山」
▼【14】:天狗の代表「日本八天狗」:
・京都愛宕山太郎坊(長男格)・滋賀比良山次郎坊(次男格)
 ・長野飯綱三郎(三男格)・大峰前鬼・鞍馬山僧正坊・白峰相模坊・相模大山伯耆坊・彦山豊前坊
 ・鞍馬天狗と牛若丸・鞍馬天狗と杉作
▼【15】:北海道の天狗:・(なし)
▼【16】青森県の天狗:・恐山常陸坊海尊
▼【17】岩手県の天狗:・南昌山盛念坊 ・羽黒山清鏡荒神 ・早池峰山遠野郷清六
▼【18】秋田県の天狗:・太平山三吉神
▼【19】宮城県の天狗:なし
▼【20】山形県の天狗:・羽黒山・蜂子皇子・羽黒山三光坊・羽黒山・水天狗円光坊・摩耶山醍醐坊
▼【21】福島県の天狗:(なし)
▼【22】栃木県の天狗:・日光山東光坊・古峰ヶ原隼人坊
▼【23】茨城県の天狗:・筑波法印・阿波大杉明神・加波山岩切大神・紫尾山利久坊・加波山天中坊
 ・岩間山十三天狗
▼【24】群馬県の天狗:・赤城山杉ノ坊・上野妙義坊・妙義山日光坊・金洞山長清法印・相馬ヶ岳相満坊
 ・榛名山満行坊・迦葉山中峰尊者
▼【25】埼玉県の天狗:・両神山刀利天坊・八海山大頭羅神王・秩父岩船山天狗坊・破風山ノッキン坊
▼【26】東京都の天狗:・高尾山飯縄権現・奥多摩・武州御岳桜坊
▼【27】神奈川県の天狗:・丹沢相模大山伯耆坊・阿夫利山道昭坊・箱根・大雄山道了薩た
▼【28】千葉県の天狗:・夷隅権現坊
▼【29】新潟県の天狗:・(なし)
▼【30)長野県の天狗:・御嶽山六尺坊・御嶽三笠山刀利天坊 ・御嶽八海山大頭羅坊
 ・御嶽阿留摩耶山アルマヤ坊・飯縄山飯綱三郎・飯縄山千日太夫・浅間山金平坊
 ・皆神山・侍従坊
▼【31)山梨県の天狗:・七面山伽藍坊・身延山妙法神・茅ヶ岳江草孫右衛門・茅ヶ岳金ヶ岳新左衛門
 ・富士小御岳正真坊
▼【32)静岡県の天狗:・富士太郎・竜爪(そう)権現・秋葉山三尺坊・奥山半僧坊・天城山万二、万三郎
 ・達磨山番太郎坊・光明山利鉾坊・大日山繁盛坊・無間山一寸坊・竜雲寺福天坊
▼【33】愛知県の天狗:・ (なし)
▼【34】富山県の天狗:・立山縄乗坊・立山光蔵坊・大家庄天然坊・大家庄名観坊・大家庄虚目坊
▼【35)石川県の天狗:・医王山光徳坊・黒壁山九万坊
▼【36)福井県の天狗:・白山御前峰泰澄上人・白山白峰大僧正・白山正法坊
▼【37】岐阜県の天狗:・(なし)
▼【38)滋賀県の天狗:・比良山次郎坊・伊吹山飛行上人・横川覚海坊・竹生(ちくぶ)島行神坊
 ・綿向山光林坊・多賀ノ森生玉坊・伊吹山金谷長円坊・松ヶ崎普門坊
▼【39】三重県の天狗:・名古屋八事(やごと)山諦忍・多度山一目連・応徳毘多神・薩和羅神
 ・伊賀小天狗清蔵
▼【40】奈良県の天狗:・役ノ行者・奈良大久杉坂(さんはん)坊・吉野皆杉(かいさん)小桜坊
 ・大峰前鬼後鬼・大峰菊丈坊・大峰金平六
▼【41】和歌山県の天狗:・高野山高林坊・高野山妙音坊
▼【42】京都府の天狗:・鞍馬本尊魔王大僧正・笠置山大僧正・愛宕山栄術太郎・鞍馬山僧正坊
 ・高雄内供奉・比叡山法性坊・如意ヶ嶽薬師坊・岩屋山金光坊・鞍馬十天狗神・愛宕山八天狗社
▼【43】大阪府の天狗:・天満山三尺坊・天岩船檀特坊・堺ノ浦太郎坊
▼【44兵庫県の天狗:・(なし)
▼【45】岡山県の天狗:・児島吉祥坊
▼【46】鳥取県の天狗:・伯耆大仙清光坊・大原住吉劒坊
▼【47】島根県の天狗:・都度沖普賢坊
▼【48】広島県の天狗:・厳島三鬼坊・山本五郎左衛門・神野悪五郎・宍戸司箭坊
▼【49】山口県の天狗:・長門普明鬼宿坊
▼【50】香川県の天狗:・白峰相模坊・象頭山金剛坊・五剣山中将坊・象頭山趣海坊
▼【51徳島県の天狗:・(なし)
▼【52】高知県の天狗:・蹉?(さた)山放主坊・白髪山高積坊
▼【53】愛媛県の天狗:・石鎚山法起坊
▼(54】福岡県の天狗:・高良山筑後坊・英彦山豊前坊・宰府高垣高森坊・彦山木練坊・求菩提山次郎坊
▼【55佐賀県の天狗:・(なし)
▼【56長崎県の天狗:・(なし)
▼【57】熊本県の天狗:・肥後阿闍梨
▼【58】大分県の天狗:・釈魔ヶ岳日隠太郎
▼【59】宮崎県の天狗:・日向尾股新蔵坊
▼【60】鹿児島県の天狗:・屋久島一品宝珠権現・硫黄ヶ島ミエビ山王・硫黄ヶ島ホダラ山王
 ・鬼界ヶ島伽藍坊・海門(開聞)岳武山魔神
▼【61】:沖縄県の天狗:・(なし)
▼【62】全国行脚:・大太法師・黒眷属金毘羅坊
▼【63】不詳の天狗:・板遠山頓鈍坊
▼【64】天狗のおちぶれ
▼【65】外国から来た天狗
▼【66】参考文献

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