山頂に必ずといっていいほどあるあの祠はなんだ?
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▼「東京・高尾山の天狗像」

【略文】
南北朝時代、僧俊源大徳が高尾山の滝で修行中、夢の
中で飯縄権現を感得しました。その像をまつって本尊
とし、修験道の道場としたのが高尾山の薬王院有喜寺。
この権現は長野県飯縄山の天狗・飯綱三郎の分家格。
白狐に乗った荼吉尼天の姿です。・東京都八王子市。

▼東京・高尾山の天狗像

【抜粋文】
 有名な高尾山の天狗はくちばしのあるカラス天狗だ
という。高尾山は東京都民の山、山頂に真言宗薬王院
有喜寺があって、真言宗の関東三山(成田山新勝寺、
川崎平間寺)のひとつに数えられています。


 この山は奈良時代、聖武天皇の勅願により行基菩薩
がみずから薬師如来を刻み、諸人救済のため高尾山上
に仏像を安置、本尊として開山したのがはじまりとい
うことになっています。

 それから600年たった、南北朝時代の1376(永和2)
年、沙門(しゃもん・出家して修行に仙念する人)俊
源大徳(しゅんげんたいとく)が再興のおり、修行に
疲れ、仮眠している時、夢枕に神が現れたという。


 神は俊源に向かって「余はアバラ(不動)明王であ
る。長い間世の中が多難で、諸々の魔怪が横行して世
を騒がすので、雷を落として降伏させるために奇瑞を
あらわした。これを飯縄の神女という。山に祭るよう
に」といったと「若稽旧記」(1750・寛延3年)に記載
されているという(「図聚天狗列伝・東日本編」)。

 それによると、顔は人、トビのようなくちばしがあ
り、法衣を着て背中に火炎を背負っていて、両肩に翼
があり、右手に宝剣、左手に索縄を持って、白狐にま
たがった荼吉尼天(だきにてん)の姿だったという。
名前、姿からしてまさしく長野県飯縄山の天狗・飯綱
三郎の姿です。俊源は、その像をまつって本尊とし、
修験道の道場としたといいます。


 この飯綱三郎の姿は、ここ高尾山のほか、箱根の大
雄山最乗寺の道了尊、群馬の迦葉山、古峰ヶ原の天狗
などはみなこの姿です。これは飯縄系列の天狗とされ、
飯綱三郎に代表されるように男の天狗です。

 しかし『若稽旧記』には確かに「これを飯縄の神女
という」とあります。それでは高尾山の天狗は女性と
いうことになってしまいます。これは俊源大徳の聞き
違いでしょうか。


 このくちばしのある荼吉尼天姿の天狗が、鼻高天狗
として(天狗といえば鼻高天狗と勘違いされ)麓の駅
に堂々と建てられてしまっているいま、これも永遠の
謎になってしまうのでしょうか。


 ちなみに室町時代までは天狗といえばカラス天狗で、
それもみにくい「ボッタガラス」の姿でした。室町時
代末期、日本画家の狩野元信が鞍馬山の天狗「鞍馬大
僧正坊」をイメージし、いままでのトビのようなカラ
ス天狗と違った「かっこいい」、鼻の高い山伏姿の天狗
を描き出しました。


 以来、各地の天狗信奉者が次々に、いままでの烏天
狗からこの大天狗の姿に乗り換えてしまいました。そ
んな中で飯縄系の山々は昔の烏天狗のままでおしとお
しています。

 しかしいま一般の人にとっては、天狗といえば赤ら
顔の鼻の高い、高下駄を履いた山伏姿をイメージしま
す。そこで駅やお寺の境内には鼻高天狗を置いてあり
ます。それほど狩野元信の描いた天狗姿は浸透してし
まっているのですね。しかし、本尊は白狐に乗った荼
吉尼天姿をしています。・東京都八王子市。


▼【参考文献】
・『山岳宗教史研究叢書8・日光山と関東の修験道』宮
田登・宮本袈裟雄(みやもとけさお)編(名著出版)1979
年(昭和54)
・『若稽旧記』(1750・寛延3年):『新編武蔵風土記稿』
(巻之102下)
・大日本地誌大系11『新編武蔵風土記稿5』蘆田伊人
編集校訂(雄山閣)昭和45(1970)年版
・『図聚天狗列伝・東日本編』知切光歳(三樹書房)19
77年(昭和52)
・「高尾山の山岳宗教」山本秀順:(『山岳宗教史研究叢
書8・日光山と関東の修験道』名著出版所収 1979年
(昭和54)
・『天狗の研究』知切光歳(大陸書房)1975年(昭和50)
・『日本山名事典』徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平
成4)
・『日本歴史地名大系13・東京都の地名』児玉幸多ほか
(平凡社)2002年(平成14)


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▼上記は、ヤマケイ新書日本百霊山を参考にしました。
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