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山の与太ばなし【奥多摩のはなし】(03)
【とよだ 時】

 (イラスト本ではありません)

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東京奥多摩・鋸尾根の天狗像

【略文】

鋸尾根でひょこっと現れる大天狗と小天狗の石像。思わずザックを

下ろし小休止、お茶を飲みおやつをほおばります。誰でも思いは同

じなのかあとから来るハイカーも次々に休憩。たちまち不安定な岩

場は満員になっていました。

・東京都奥多摩町


▼下記の【本文】もどうぞ。

東京奥多摩・鋸尾根の天狗像

【本文】

 奥多摩の大岳山は、御前山・三頭山とあわせて奥多摩三山と呼ば

れます。大岳山は神主がかぶる冠のような形なので一名冠山と呼ぶ

そうです。目立つその峰は東京都心からでも望めます。



 「武蔵通誌」という文書に、「両総地方(千葉県)ニテ武蔵ノ鍋

冠山ト称シ、海路ノ目標トナス」とあり、かつては東京湾の漁船の

目じるし(あて)になっていたといいます。その大岳山から露岩の

間の急坂を下り、奥多摩駅方面に進みます。



 やがて鋸のようにギザギザなその名も鋸山、天地山分岐からゴツ

ゴツした鋸尾根を進み、ハシゴや鎖場を過ぎてひょこっと現れる大

天狗と小天狗の石像。そばに神社の石祠もあります。



 大天狗像の下部には「奉」の文字、小天狗像の下部には「納」の

文字があり、それぞれに「昭和四六年五月」、左側に神社の名前も

刻んであります。思わずザックを下ろし小休止、お茶を飲みおやつ

をほおばります。誰でも同じなのかあとから来るハイカーも次々に

休憩。たちまち満員の状態でした。



 ところでどうしても気になるのがこの天狗の神社です。ここはそ

の神社の奥宮で、里宮は奥多摩町氷川の登計(とけ)集落にあるという。

天狗の神社として30年来気になっていたところ。そこである初秋、物好

きにも訪ねてみました。



 奥多摩駅前の観光案内所で神社の名前をいってもよく分かりません。

ビジターセンターで登計集落への行き方を教わることができました。さす

が天狗の神社とあって神秘的なところがいい。ますます期待できそうで

す。



 消防署前から舗装の坂道を登っていくのですがそれから先はムニャム

ニャ。とうとう愛宕山から鋸尾根につづく登計(とけ)峠に出てしまいまし

た。引き返し、誰かに聞こうにも、民家はあっても人っ子ひとりいません。



 坂の林道を行ったり来たりを数回。民家からテレビの音声が聞こえてく

る家があります。庭先から声をかけ、やっと神社の場所を聞き出し、訪れ

ることが出来ました。神社に人は留守で、狛犬の変わりに大天狗小天狗

が鎮座まします。写真を撮り、神社の回り一巡し、まあまあ満足です。



 早速奥多摩町役場へこの神社の由来、祭神など聞きに行きました。

と、あの神社は地元の人たちが氏子になって出来た神社ではなく、新し

い宗教法人なので、町では把握していないとのこと。エッ。新興宗教団体

なのか。



 そういえば神社に立派な鳥居と、寄進者の名前を書いた木札があった

けれど、由来を書いた石碑がなかったぞ。それじゃ、作品に取り上げて発

表すれば、特定の宗教団体の宣伝になってしまいます。



 なんという…。残念ながらこんなわけで暑い初秋の一日がかりの「天狗

神社訪問記」もチョン。こんなこともありますわいな。



▼鋸尾根天聖神社【データ】
【所在地】
・東京都西多摩郡奥多摩町。JR青梅線奥多摩駅から歩いて1時間
20分で鋸尾根天狗像。
【位置】
・天狗像:北緯35度47分49.1秒、東経139度05分54.2秒
【地図】
・2万5千分の1地形図「奥多摩湖(東京)」
▼【参考文献】
・『奥多摩』宮内敏雄(百水社)1992年(平成4)
・『角川日本地名大辞典13・東京都』北原進(角川書店)1978年(昭和
53年)
・『武蔵通誌』河田羆(かわだ・たけし)が1894〜1895(明治27〜28)
年ころに著した私撰地誌。



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