▼山の伝承神話【本文】のページ(06)

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▼東北・早池峰山の酒好き怪人

【説明本文】

 東北の名山として有名な早池峰山(はやちねさん・岩手県)は、
山頂に霊泉といわれる池があり、これが山名のもとのなってといま
す。この山の麓には天狗の話がたくさん残っています。


 その一つ、村に足の速い男がいました。村人がそろって早池峰山
参りするのときも、いつも人の後から家を出ます。みんながあえぎ
あえぎ、やっと山頂に登ってみると、いつの間にか先に来ていて「お
前たちは何をしていたのだ」と笑っています。名前を清六といい、
花巻あたりの人らしい。


 民俗学者柳田國男の「遠野物語拾遺99」に出てくる話です。清六
天狗は酒が好きで、いつも小さなヒョウタンに酒をつめて持ち歩い
ており、酒がなくなるとさびついた小銭を払って酒を買いに来ます。
しかし、ヒョウタンには酒がいくらつぎ込んでもみんな入ってしま
い、酒屋の親父を困らせたといいます。


 遠野市には、天狗が着ていた「天狗の衣」が伝わる家があるそう
です。「天狗の衣」は袖の小さい青い襦袢(じゅばん)のようなも
ので、袖に十六紋の菊が綾織りになっています。胴にもヒョウタン
の形の中に菊の紋があるといいます。


 また天狗の衣のほかに、清六の履いた下駄も大切にしていたとい
う。また清六の末孫という人がいまも岩手県花巻市にあたりに住ん
でいて、まわりの人はこれを「天狗の家」と呼んでいたといいます。
さらにその家の娘が、遠野の町でいたことがあったそうです。


 彼女は夜中にどんなに厳重に戸締まりしてあっても、どこからか
出て行って町を歩きまわり、時々人のリンゴ園に入り込みリンゴを
とって食べているという。その後一関市の方に住んでいたという話
もあります。


 ある夏、早池峰山に登り、薬師岳を経由して、遠野側下る途中の
小田越えの避難小屋に泊まりました。小屋は以外と広く快適です。
日がかたむき、誰も居ず静かです。清六は飛ぶようにしてこの付近
を通るのだろうか。


 運よく一目でも見られればこんないいことはありません。突然小
屋の戸が開きました。こども連れの一家がドヤドヤと入ってきまし
た。それからは賑やかなこと賑やかなこと。深田久弥選定の「日本
百名山」のひとつ。また田中澄江選定「花の百名山」にも入ってい
ます。



▼早池峰山【データ】
★【山名】
・早池峰山(はやちねさん)・早池の泉(つねに清水を八分くらい
に湛えていて、甘みがあり、不思議なことに雨が降っても水があふ
れず、ひでりになっても涸れないという。

ところが汚れた器で汲んだり、不浄を加えればたちまち水は涸れて
しまう。しかしお経を唱えて祈ればすぐに湧いてくるという。その
感応の早さから「早池峰」の名前がある)

★【名山】
・深田久弥選定「日本百名山」(第14番):日本二百名山、日本三百
名山にも含まれる。
・田中澄江選定「花の百名山」(第27番・チシマコザクラ)

★【所在地】
・岩手県花巻市大迫町と同県宮古市との境。JR花巻駅からバス・
川原の坊から3時間20分で早池峰山。一等三角点(1913.61m)と
早池峰山神社奥宮がある。

★【ご利益】
・【早池峰山神社奥宮】:災難除け・豊作祈願・作神


★【位置】
・三角点:北緯39度33分30.08秒、東経141度29分20.45秒

★【地図】
・2万5千分の1地形図「早池峰山(盛岡)」or「高桧山(盛岡)」(2
図葉名と重なる)(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」か
ら検索)

★【山行】
・某年8月3日(木曜日ガスのち晴れ)
・1987年(平成1)8月3日(木曜日・ガスのち晴れ)

▼【参考】
・『山岳宗教史研究叢書16・修験道の伝承文化』五木重編 (名著
出版)1981年(昭和56)
・『定本附馬牛村誌』附馬牛村(岩手県)誌編纂委員会著(附馬牛
村役場)1954年(昭和29)
・『天狗の研究』知切光歳(大陸書房)1975年(昭和50)
・『図聚天狗列伝・東日本』知切光歳著(三樹書房)1977年(昭和52)
・「遠野物語拾遺」:(『遠野物語』柳田国男(角川文庫)1979年(昭
和54)p69に収録)
・『早池峰山神社社記』宮司山蔭幸三(早池峰山神社)1987年(昭
和62):(岩手県大迫町・おおはさままち)



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山旅通信【ひとり画っ展】発行
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山旅【画っ展の会】
from 20/10/2000



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