▼山の伝承神話【本文】のページ03

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南アルプス兎岳・林道の白い線

【説明本文】

 南アルプスの南部・荒川岳・赤石岳から南下し聖岳の向かう途中
に兎岳(2818m)という山があります。山頂はハイマツ帯の広場に
なっていて、北方には赤石岳、荒川岳、そしてはるか向こうに甲斐
駒ヶ岳、仙丈ヶ岳など望み、360度の展望を欲しいままにできます。


 山名は西方長野県側に突き上げてくる遠山川の支流兎洞の源頭と
いう意味だとか。この一帯はシラビソ、トウヒ、コメツガ、ダケカ
ンバ、サワラなどの森林に深くおおわれた原始の山奥を実感すると
ころ。


 山頂東面静岡県側は、赤石沢が深く食い込み、夏でも隠れた雪渓
が谷間の各所に残っています。兎岳は長野県遠山郷のひとたちが「ウ
サギ、ウサギ」と親しみを込めて呼んでいる山。


 山麓の南信濃村木沢小学校の校歌にも「明日に仰ぐ聖岳、夕べに
望む兎岳……」と歌われています。小兎・中兎岳を従えてそびえる
兎岳の姿は立派だといいます。


 兎岳の三角点の標高は2799.3mになっていますが、三角点は山
頂より西南へ約160m離れた稜線上のやや低いところにあり、実際
の兎岳山頂の標高は2818mだそうです。


 測量登山は1905(明治38)年、猟師の丸山熊吉の案内で陸地測量
部の測量官が長野県上村下栗から平谷山、立俣山を経由して登った
という。また、登山者としては1912(明治45)年、中村清太郎が南
から赤石岳への縦走中にこの山頂に立ったのが最初の記録です。


 ある年の8月、静岡県井川から畑薙第一ダムの終点までバス。宿
泊料金込みのマイクロバスに乗せられ椹島へ。赤石テント場で一泊
後、赤石岳経由で兎岳の山頂に立ちました。すでに夕方のこともあ
って山頂には誰いませんでした。


 岩に座り込み、大休止。おやつを食べていると、ふと、西側遠く
の山並みのくねくねと蛇がはっているような白いものが続いている
のが目に入りました。それはなんと山腹を削って延びる林道でした。


 なんという人間の傲慢さでしょう。あれではまわりの植生への影
響も心配になるのも道理です。街の中で自然保護をいう人たちにも
一度見てもらいたい光景です。


 そろそろ体冷えてきました。登山道を歩き始めます。急に道が荒
れ急坂を下るようになっています。この前来たときとどうも様子が
違う。2,3回うろうろ。たしか少し戻って坂道を下り避難小屋の
前を通ったはず。思い出したころは雨が降り出しました。


 歩けるだけ歩き、木々の間にテントひと張りの場所を見つけもぐ
り込みます。温かいスープを飲みながら、どうも気になるあの林道
を記入した地図上にヘッドランプの光を当てました。



▼兎岳【データ】
★【所在地】
・長野県飯田市南信濃地区名(旧下伊那郡南信濃村)と長野県飯田
市上村(旧下伊那郡上村)と静岡県静岡市との境。飯田線飯田駅の
南東29キロ。

 JR飯田線飯田駅からタクシー(2時間)シラビソ峠下車、さら
に歩いて延べ12時間で兎岳山頂(標高点・縦走路が通る)。

三等三角点(2799.3m・縦走路からはずれる)と写真測量による標
高点(2818m・山頂)、避難小屋がある。

 地形図に山名と縦走路の南西に三角点の標高、縦走路わきに標高
点(2818m)の標高、その南東に兎岳避難小屋、避難小屋わきに標
高点(2696m)の記載あり。山頂より南西方向直線約185mに三角
点がある。山頂より北東方向直線約140mに避難小屋がある。


★【位置】
・標高点:緯度北緯35度25分42.98秒、東経138度07分16.29秒
・三角点:北緯35度25分41.01秒、東経138度07分9.6秒


▼【地図】
・2万5千分の1地形図「大沢岳(甲府)」or「赤石岳(甲府)」(2
図葉名と重なる)


▼【山行】
・某年8月4日(木曜日・晴れ)


▼【参考文献】
・『角川日本地名大辞典20・長野県』市川健夫ほか編(角川書店)

1990年(平成2)
・『新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・『日本山岳ルーツ大辞典』村石利夫(竹書房)1997年(平成9)
・『日本山名事典』徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成16)
・『信州山岳百科・2』(信濃毎日新聞社)1983年(昭和58)


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山旅通信【ひとり画っ展】発行
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山旅【画っ展の会】
from 20/10/2000



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