▼山のまん画ばなし【本文】のページ(02

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▼奥秩父・十文字峠の石仏

【略文】
奥秩父、長野県川上村梓山地区と埼玉県秩父市大滝の栃本地区を結
ぶ十文字峠道は縄文時代から歩かれ交流していたところだという。
その証拠に長野・埼玉県の両麓から同じ型式の縄文土器が出土して
いるそうです。この峠道には旅人の安全を祈願して一里観音、二里
観音…と里程観音が建立されています。江戸時代、中山道の裏街道
としても大勢の人たちに歩かれた山道だそうです。
・埼玉県秩父市。

※ご用とお急ぎでない方は、【本文】もどうぞ。

【本文】

 奥秩父の十文字峠道は、峠から長野県南佐久郡川上村梓山地区側
8キロと埼玉県秩父市大滝の栃本地区側の20キロ。この道は遠〜く
縄文時代から歩かれていたという。その証拠に、秩父地方(埼玉県
側)から発掘された縄文時代の矢尻(やじり)は、長野県和田峠付
近からとれた黒曜石を加工したものだったというのです。


 また両ふもと(埼玉県側と長野県側)から、同じ型式の縄文土器
が出土していることから、その時代から人々がひんぱんにこの峠を
行き来していたことが証明されています。江戸時代になると、中山
道(江戸中半以前は中仙道)の裏街道として大勢の人たちによって
歩かれるようになりました。


 江戸中期には富士山や神奈川県の丹沢大山(相模大山・石尊社)、
信州の善光寺参り、また秩父の巡礼、秩父三峰山参詣の人たちがた
くさん通るようになり、通行は賑やかだったと伝えています。三峰
神社で使う米、麦、味噌などはみな、長野県佐久地方からこの峠を
越えて運ばれたともいいます。


 江戸も末期の1864(元治元)年、峠道を行く旅人の安全を祈願し
て、道標を兼ねた6体の観世音(観音)菩薩の石仏が建立されまし
た。変化観音の馬頭観音を含めた石像は、1里ごとに(50町を1里
として)置かれ、1体は埼玉県側栃本集落の村人が、残りの5体は
長野県側梓山集落の村人が奉納したと伝えられています。


 いまでも栃本側から一里観音、二里観音、三里観音と順番に呼ば
れ旅人に親しまれています。長野県側「川上村誌」によれば、1864
年(元治1)の十文字峠「通行人改帳」には、8月中の通行人は30
9人だったと記されているそうです。


 ちなみに現在、峠上にある山小屋十文字小屋は、もとは埼玉県側
の四里観音のそばにありました。しかし1967年(昭和42)に行わ
れた埼玉県国民体育大会の時にいまの場所に移したものだそうで
す。


 ある年、金峰山から甲武信ヶ岳・十文字峠を経て栃本へ抜けまし
た。その途中、時間がハンパになり埼玉県側一里観音の前にテント
を張ったことがありました。そこは峠道の真ん中ながらよく整備さ
れ、若干広めになっています。観音さまは苔むしていますが、にこ
やかに迎えてくれているような気がします。


 夕闇の中、静かな時間が過ぎていきます。夕食をつくりながらラ
ジオをつけました。なにか大騒ぎをしています。それがあのサリン
事件でした。下界はますます物騒な世の中になっていっているよう
です。ふと見るとまわりの笹やぶにはけもの道がたくさん口を開け
ています。


 これはこれはこんなところにテントを張って、「けもの」の皆さ
まのご迷惑になったかな。やはり警戒されたか、一晩中その気配は
ありませんでした。おじゃましました。翌朝、サリン事件のその後
のニュースを聞きながら早々にテントをたたんで退散しました。


▼十文字峠一里観音【データ】
★【所在地】
・埼玉県秩父市大滝(旧秩父郡大滝村)。

★【位置】
・一里観音:北緯35度57分13.01秒、東経138度49分50.03秒

★【地図】
・2万5千分の1地形図「中津峡(甲府)」

▼【参考】
・『秩父の山々』田部重吉:(「日本山岳風土記・3」(宝文館)196
0年(昭和35)
・『角川日本地名大辞典』(角川書店)
・『信州山岳百科・3』(信濃毎日新聞社)1983年(昭和58)
・『信州百峠』井出孫六ほか監修(郷土出版社)1995年(平成7)
・『新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・『日本山名事典』徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成16)
・『日本歴史地名大系』(平凡社)

 

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