▼山の伝承神話【本文のページ】(10)
【とよだ時】(豊田時男)
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山旅【ひとり画ッ展】
▼笠ヶ岳・笠の形と播隆上人
(長文です。拾い読みしてください)
▼笠ヶ岳・笠の形と播隆上人
【説明本文】
北アルプス岐阜県高山市上宝町(旧同県吉
城郡上宝村)に笠ヶ岳(2897.5m)という山
があります。各地に「笠」の形をした山は多
くありますが、この笠ヶ岳ほどどこから見て
も同じ形をした山はないそうです。
江戸時代は山頂から少し下にある山小屋あ
たりが人の肩に似ているというので「肩ヶ岳」
とか、お釈迦様の「迦」を意識したのか「迦
多ヶ岳」といっていたそうです。山岳修行で
おなじみの念仏僧・播隆上人がここに登り東
の空に浮かぶ天をつくような槍ヶ岳を見て、
初登頂を決意した話は有名です。
笠ヶ岳への初登山は、遠く鎌倉時代の中期、
文永年間(1264〜75)からだというから古い。
地元の高原郷(いまの高山市上宝村)本覚禅
寺の道泉という和尚が初登頂との説がありま
す。ただ大昔のこととてどうもはっきりはし
ませんが……。
時は下り、江戸時代の元禄年間、仏像を鉈
一丁で刻むことで有名な円空が登ったともい
われています。ご存知円空は、12万体の仏像
を彫ることを発願した江戸初期の密教布教
僧。1683(天和3)年、飛騨に入り、のち16
89(元禄3)年、いまの上宝村長倉の桂峰寺
で今上皇帝像を刻みました。
その時までここ飛騨ですでに1万体、各地
のを合わせると10万体彫っていたとの記録が
あります。笠ヶ岳に登ったのはこのころのこ
と。山頂に大日如来を安置したといいます。
同村には円空作の仏像がほかに数点残ってい
るそうです。
次に登ったのは高山市宗猷寺(そうゆうじ)
の何裔(なんえい)上人。1782(天明2)年、
のことだといいます。江戸も後期の1821年
(文政4)年、修行の旅を続けていた播隆上
人は笠ヶ岳を開山した道泉和尚の寺・本覚禅
寺の椿宗和尚を訪ね、岩井戸地区にある杓子
形にえぐられた岩屋(釈子窟)にこもり修行
をしたといいます。
この笠ヶ岳開山の本家のお寺は高山市上宝
村本郷地区にあり、臨済宗妙心寺派で正式名
称は高原山本覚寺。当郷の領主絵馬氏の二代
目の子が出家し開いた寺だといいます。
さて、2年間釈子窟で修行した播隆は、1823
(文政6)年6月、いまの笹島地区から笠谷
をさかのぼり、荒れたわずかな踏み跡を探し
ながらなんとか笠ヶ岳に登頂しました。
播隆は下山したのち「多くの信者が笠ヶ岳
に登れるように」と、村人とともに登山道を
整備をはじめます。登山道は50日かかって
完成したという。
その年の8月5日、播隆は笠ヶ岳再興を祝
って村人18人を連れて再び登頂します。一
行が霧がかかった笠ヶ岳山頂で念仏を唱えて
いた午後4時ごろ、雲の中から七色にかがや
くご来光が現れ、その中心に如来像がくっき
りあらわれました。「仏さまの出現だ」と全
員感きわまってその場にひれ伏したという。
いまでいうブロッケン現象ですね。
この時、山頂に立った播隆は、東の空に浮
かぶ荒々しい穂高連峰の岩峰の中に、ひとき
わ天を突くようにそびえる槍ヶ岳を見まし
た。「あの山こそ、絶好の修行の場所だ」。播
隆はそう確信し、槍ヶ岳に登ることを決意し
たという。
翌年、播隆は登山道の1里(4キロ)ごと
に8体の石仏を路傍の碑として建て、笠ヶ岳
山頂には阿弥陀仏像をまつったといいます。
この時のことを書いた播隆上人の『迦多賀岳
再興記』『迦多賀岳の記』が本覚寺にいまも
あるそうです。現在でも笹島地区の観音堂か
ら笠ヶ岳まで旧登拝道のふみあとがあり、一
里塚は村の文化財になっているという。山頂
にはなごりの祠が残っています。
▼笠ヶ岳【データ】
★【所在地】
・岐阜県高山市上宝町(旧岐阜県吉城郡上宝
村)。高山本線高山駅の北東34キロ。JR
高山本線高山駅からバス、新穂高温泉から歩
いて7時間で笠ヶ岳(標高2897.5m)二等三
角点がある。地形図に山名と三角点の標高あ
り。三角点より北方294mに笠ヶ岳山荘があ
る。
★【位置】国土地理院「電子国土ポータルWe
bシステム」から検索
・二等三角点:北緯36度18分55.72秒、東経1
37度33分01.43秒
★【地図】
・2万5千分の1地形図「笠ヶ岳(高山)」
▼【参考文献】
・『角川日本地名大辞典21・岐阜県」野村忠
夫ほか編(角川書店)1980年(昭和55)
・『新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ
出版)2005年(平成17)
・『旅と伝説」三元社(昭和17年4月号)
・『秘録・北アルプス物語」朝日新聞松本支
局(郷土出版)1982年(昭和57)
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20/10/2000



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