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岳みち里みち田んぼみち
▼山と田園の伝承神話(本文のページ)(08)
【とよだ時】(豊田時男)
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山旅【ひとり画ッ展】
▼「林道の楽しみ・イタドリ」
【説明略文】
ポカポカと日当たりのよい山道に生えている
タケノコのようなイタドリの太い若芽。食べ
ると酸っぱく、昔の子供は喜んで食べたもの
でした。山歩きのおとなが、なつかしがって、
皮をむいているのをみかけます。これは、荏
酸(しゅうさん)による酸味なのであまりた
くさん生食すると害になるといいます。
【本文】は下記をどうぞ。
(長文です。拾い読みしてください)
▼「林道の楽しみ・イタドリ」
【本文】
あこがれの山頂に立ち、雄大な景色を思い
存分楽しんだあと、下山します。長い長い下
山道、膝がさんざんガクガクと笑ったあと、
やっと登山口の林道に飛び出しました。駐車
場までの林道歩きです。
山頂でコーヒーを飲みながら楽しんだ、雄
大な眺望を思い出しながら歩いていると、ス
トック片手に山歩きをしている中年のハイカ
ーが、ニコニコしながら何か食べています。
林道のわきに生えているタケノコのようなイ
タドリの若芽を食べています。昔の子供は喜
んで食べたものでした。早速まねをして、一
本折って皮をむきます。酸っぱい味が口中に
広がります。
イタドリはタデ科タデ属の多年草。野山や
道ばたに群落をつくって生えています。春、
地下茎からタケノコに似た中が空(から)の
新芽を出してふえていきます。草たけは1〜
1.5mと大きく、葉は三角状の卵形をしてい
ます。雌花だけをつける雌株と、雄花のみを
つける雄株があります。夏に葉のつけ根に小
さな花をたくさんつけますが、花びらはあり
ません。雌株にはがくの変形した3枚のはね
をもった果実をつけます。
【品種】
富士山には、ベニイタドリ、別名「名月草」
という紅色の花や果実をつける品種もありま
す。また本州の日本海側には、葉っぱの裏面
にある脈上に、毛が集まるものがあって、そ
れを変種ケノイタドリというそうです。その
他高山に生える赤い実をつけるオノエイタド
リなど観賞用のものまであるようです。
【語源】
イタドリは疼取(いたどり)と書き、この
植物に痛みを取り除く効果があるからという
説があります。しかし本当に効力があるかど
うかは不明とのこと。ただ、イタドリの中国
名を「黄薬子」、または「虎杖」(こじょう)
と呼ぶように、薬にちなんだ名がつけられて
おり、薬草としても広く活用されているよう
です。
【食べる】
イタドリの新芽は、茎の中に蓚酸(しゅう
さん)というものが含まれているのでスイバ
と同じく酸っぱく、生で食べる時は、あまり
たくさん食べてはよくないそうです。この新
芽はゆでてもよく、また塩漬けにして食べた
りします。
【薬用】
薬用としては、根を肋膜炎や心臓病、胃弱、
カゼ薬、打ち身の腫れ、また利尿、通経の目
的で民間薬として咳や夜尿症の薬に、渇きを
いやす飲料に利用されています。イタドリは
漢方薬にもなります。根を天日乾燥して緩下
剤にするそうです。漢方名を虎杖根(こじょ
うこん)といい、ポリゴニンなどのアントラ
キノン誘導体という成分を含んでいるのだそ
うです。
そのほか地方によりいろいろ薬用法がある
ようで、かつては佐渡や秋田県では、根を便
秘や腎臓病に、葉をもんで患部に当て、止血
に利用したりしました(『植物民俗』)。また
民間療法でも、「淋病(膀胱炎を指す)に、
奔怪病(ほんけいびょう)、通経・緩下の目
的で煎用、1〜2度の火傷に果の煎じ汁を湿
布」などと、「ものの本」にはならんでいま
す。しかし、めったなことに素人は手を出さ
ない方がよいようで、「西洋医学」では未開
発(『原色版日本薬用植物事典』)とありまし
た。
【遊び】
夏から秋、イタドリがすっかり大きくなっ
て、白い花を群がるように咲かせています。
茎は高さ1.5mにもなり、竹のように中がが
らんどうです。昔の子供たちは、このイタド
リの茎で遊び道具を作りました。「米つき」、
「笛」、「シシオドシ」、「水車」、「ガッタリ」、
「ままごと道具」など多種に渡ります。
【笛】:
大きくなったイタドリの茎で笛を作りま
す。がらんどうの茎を斜めに切って、その上
部の肉目に切り込みを入れ、ササの葉を「弁」
の形に切って、切り込みにさし込んで吹きま
す。すると「ビー」とか「ブー」というよう
な音が出ます。ササの葉の弁が乾いてしまい、
笛が鳴らなくなった時には、吹き口を一度な
めるとまた鳴りだします。
【シシオドシ】:
「シシオドシ」もできます。イタドリの茎
を適当な長さに切って、太い方をななめに切
ります。さらに、別の短いイタドリの茎2本
を、支柱として用意します。斜めに切った茎
と2本の支柱に、キリで穴をあけ、よく動く
ように小枝を通します。それとは別に太い茎
に穴をあけて、そのなかに水の通る細い茎を
差し込みます。このセットを組み立てて、水
を流せば、「シシオドシ」ができました。
キリの穴は水が受け口いっぱいになると、
その重さで下がる位置になるようにバランス
をとります。水が流れてしまい軽くなると、
受け口が跳ね上がって、支柱の反対側が重み
で石に当たり「パッコーン」と音が出ます。
これを繰りかえすのが「シシオドシ」です。
「シシオドシ」とは、もとは田んぼや畑にく
る害鳥や、害獣を追い払うために、作った装
置です。もっと大きな竹で作りました。それ
が音が風流だというので、いまは庭園にも取
り入れられています。
【米つき】:
また、「シシオドシ」の支柱の石が当たる
側へ「こま」をつけます。こまが当たるとこ
ろへ花や草の実を置くと「米つき」装置ので
きあがりです。
【伝説】
イタドリの遊びの中でも、とくに「イタド
リ笛」の伝説が各地にあります。とあるその
地方でも、ひでりの年にはこのイタドリ笛を
吹いて、雨乞いをしていました。その伝説で
す。「昔、あるところにイタドリ笛を吹く名
人がいました。名人の吹く笛の音は人の心を
魅了したといいます。その笛の音をしたって、
美しい娘がイタドリ笛の名人の妻になりまし
た。やがて妻は身ごもり、月満ちて出産のこ
ろ産屋に入りました。……
……その時妻は、絶対に中をのぞかないよ
う夫に念を押しました。しかし夫は我慢でき
ず、産屋の中をのぞいてしまったのです。す
ると妻は大蛇の姿になっていて、生まれた子
供に「千両箱」を残して、みずから池に身を
投げてしまったといいます」。いま、ひでり
でイタドリの笛を吹いて雨乞いをするとき
は、決まって村人は池の周りに集まって、こ
の昔話をするのがその地方の「ならわし」だ
そうです。それは身を沈めた池の主である大
蛇に、「雨を降らしてほしい」という、村人
の願いからなのでです。
さてそれはさておき、古代にはイタドリを
「多遅比」(たじひ)といったそうです(『日
本書紀』)。また『古事記』でも「蝮」(たじ
ひ)といっています。それはイタドリの姿が
蛇に似ているからだとか。それは天皇の名前
までに関係しているそうです。第18代とさ
れている天皇に、反正(はんぜい)天皇(即
位406年・古墳時代)がいます(『世界大百
科事典』平凡社)。この天皇が生まれたとき、
美しい井戸水で産湯を使ったといいます。
ふと見ると、その井戸のまわりに白いイタ
ドリの花が咲いていました。そこで生まれた
天皇の名を「多遅比瑞歯別天皇」(たじひみ
ずはわけのすめらみこと)と名づけたといい
ます(『日本書紀』)。それかあらぬか、この
天皇は、河内国(かわちのくに)の丹比(た
じひ)(いまの大阪東部松原市あたりか?)
に都(みやこ)を定めたといいます。
『日本書紀』の反正天皇元年条には、「冬
十月(かむなづき)に、河内(かふち)の丹
比(たぢひ)に都つくる。是(これ)を柴籬
宮(しばかきのみや)と謂(まう)す。是の
時に當りて、風雨時に順ひて、五穀成熟(み
の)れり。人民富み饒(にぎわ)ひ天下太平な
り」とあります。このように、その時代は、
「風雨、時にしたがひ」て、豊作がつづいた
ということです。
▼【参考文献】
・『カラーブックス・草花遊び』相馬大・小片勝敏(保
育社)1977年(昭和52)
・『草花あそび』ながたはるみ(鶴書房)1977
年(昭和52)
・『原色版日本薬用植物事典』伊沢凡人(誠
文堂新光社)1980年(昭和55)
・『古事記』:「新潮日本古典集成27」『古事
記』校注・西宮一民(新潮社版)2005年(平
成17)
・『日本書紀』岩波文庫全5巻(校注・坂本
太郎ほか)(岩波書店)1995年(平成7)
・「植物の世界79」(週刊朝日百科)(朝日新
聞社)1995年(平成7)
・『植物民俗』長澤武著(法政大学出版部)2
001年(平成13)
・『世界の植物6・通巻67号』(週刊朝日百科)
(朝日新聞社)1977(昭和52)
・『日本大百科全書・2』(小学館)1985年
(昭和60)
・『ふるさとを感じるあそび事典』山田卓三
編(農文教)1990年(平成2)
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