▼雑学・山の伝承ばなし
本文のページ(07)
【とよだ時】(豊田時男)
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▼奈良高天彦神社・土蜘蛛の洞窟
【説明本文】
『古事記』や『日本書紀』などの
神話伝説に出てくる高天原はここだと
いう所は各地にありますが、
ここ奈良県御所市高天集落も
そのひとつです。
『日本書紀』(神代上)に出てくる
高皇産霊神(たかみむすびのかみ)、
『古事記』(上つ巻)に出てくる
高御産巣日神(たかみむすびかみ)を
祭神とする高天彦神社(たかまひこじ
んじゃ)もあります。
昔、ここにクモのような
部族・土蜘蛛が住んでいたと
いいます。
土蜘蛛は鬼と同じように、
古代、朝廷に従属しない先住の人々を
よぶ蔑視語。
ここ奈良県葛城地方で、
土蜘蛛の史蹟が2ヶ所あります。
ひとつは高天彦神社の北西に
あたる葛城一言主神社の境内にある
土蜘蛛塚で、これは神武天皇が
土蜘蛛を捕え、彼らの怨念が
復活しないように頭、胴、足と
別々に埋めた跡といわれています。
ほかのひとつがここ高天彦神社の
そばにある蜘蛛窟。
その昔、このあたりに足が
千本もある大きな「土蜘蛛」が
すんでいて、付近の村々にいたずらや
悪さのし放題。
この目にあまる行為に時の天皇は、
土蜘蛛を退治するため勅使を派遣。
勅使は字サルチ(猿伐)という
所から、土蜘蛛めがけて矢を射て
殺しました。
その矢が落ちたところを「矢の段」と
いうそうです。
そして土蜘蛛を高天彦神社のそばに
埋め、蜘蛛塚といったと
伝えています(御所市史による)。
かなり前の4月、吉野・山上ヶ岳・
洞川集落などを歩くついでに、
高天彦神社から土蜘蛛の
住処だったという蜘蛛の窟を
訪ねました。
夕べ、東京駅から大垣夜行に乗り
名古屋駅から紀勢本線・
関西本線経由、王子駅乗り換え
和歌山線御所駅下車、一言主神社を
訪ね土蜘蛛塚を訪ねましたが、
歩き通しで寝不足も手伝って
かなりきつい。
蜘蛛窟は杉林の中にあり、
径2m位の場所がコンクリートで
固められ石碑も建っています。
そこから伸びる踏み跡が
一本続いています。
途中でザックをおろし、踏み跡を
たどりますが行っても行っても……。
結構な距離をいや〜歩いた歩いた。
やっとたどり着いてみれば
枯れ葉で埋まった同じような
くぼ地がポツン。
登山靴で切り株を
蹴りつけてやりました。
▼高天彦神社【データ】
【所在地】
・奈良県御所市高天。JR和歌山線御
所駅から歩いて3時間で高天彦神社。
【位置】(電子国土ポータル)
・高天彦神社:北緯34度25分04.77
秒、東経135度41分45.61秒
▼【地図】
・2万5千分の1地形図「五條(和歌
山)」or「御所(和歌山)」(2図葉名と
重なる)
▼【参考文献】
・『角川日本地名大辞典29・奈良県』
永島福太郎ほか編(角川書店)1990
年(平成2)
・『続・神々の系図』川口謙二(東京
美術)1980年(昭和55)
・『古事記』:新潮日本古典集成『古事
記』西宮一臣校注(新潮社)2005年
(平成17)
・『日本伝奇伝説大事典』乾克己ほか
編(角川書店)1990年(平成2)
・『日本架空伝承人名事典』大隅和雄
ほか(平凡社)1992年(平成4)
・『日本書紀』:岩波文庫『日本書紀
(一)』坂本太郎ほか校注(岩波書店)
1996年(平成8)
・『日本歴史地名大系30・奈良県の地
名』(平凡社)1981年(昭和56)
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