▼山の軽口ばなし
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【とよだ時】(豊田時男
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奈良県大峰山山上ヶ岳・
女人禁制とこの山に登った女性

【説明略文】
いまだに女人禁制の奈良県大峰山山上ヶ岳。
しかし現に「日本百名山」に登っている女性
は多い。1929年(昭和4)に二人の女性、19
37年(昭和12)9月と11月、その他女性登山
の記録は結構あります。これから先どこまで
守れるか興味があります。
・奈良県天川村。

★詳細は本文をご覧下さい。

【説明本文】
 いまだに女人禁制で名高い紀伊大峰山山上
ヶ岳。時どき、いつ解禁になるのか新聞など
で話題になります。かつて、アメリカの進駐
軍女性がここに登ろうとしたことがありまし
た。

 「国際問題になるから止めないように…」
との警察のお達しにも耳をかさず、住民は男
性300人を召集して通せんぼ。「この山はア
メリカの尼僧院と同じ所。尼僧院だって男性
が入れば混乱するでしょう」と相手を納得さ
せたという。

 しかし、「日本百名山」を完登した女性は
多い。それもそのはず、以前から登っている
女性はいるという。


 記録にあるだけでも、「昭和12年(1937)
9月と11月の2回女性を伴い登山決行」な
どの記事が昭和26年(1951)の「山と渓谷」
誌148号「新稿山岳辞典」に掲載しています。

 牧田満政氏という人が1956年(昭和31)
に発表した「大峰山に登った女性」には、そ
れ以外にも相当数いるとあります。

 「今更登山の見地からならば、女性登山な
ど問題じゃない…ただし、その入山は総て開
山期以外、もしくは、行者路以外。開山期に
無理に女性が押し入ろうとすれば、頑迷固陋
(ころう)の地元民の性格を知らないで無理
強いするのは無謀であり、傷害事件に発展す
る可能性もある」との現地山岳会主宰者から
の手紙を披露しています。


 最後に牧田氏は昭和5年(1930)発行の「山
岳旅行案内」の「山上岳」の記事「往古より
女人禁制の山であったが、昨夏二人の女性に
山頂を征服せられてしまった」との文を紹介
し、このような事情を考慮せず話題にするの
は嘆かわしいと結んでいます。

 時代が大きく変わったいま、いつまで女人
禁制が守れるか興味のあるところです。
・奈良県天川村


▼山上ヶ岳【データ】
【所在地】
・奈良県吉野郡天川村。近鉄吉野線吉野駅の
南東14キロ。近鉄吉野線下市口からバス洞川
下車、歩いて3時間30分で山上ヶ岳。一等三
角点(1719.2m)と蔵王権現を祭る大峰山寺
がある。

▼【位置】国土地理院「電子国土ポータル」
・三角点:北緯34度15分8.58秒、東経135度5
6分27.8秒

【地図】
・2万5千分の1地形図:「弥山(和歌山)」o
r「洞川(和歌山)」(2図葉名と重なる)。

▼【参考】
・「あしなか53輯」山村民俗の会発行(昭和3
1年9月)「大峰に登った女性」牧田満政。
・『古代山岳信仰遺跡の研究』大和久震平著
(名著出版)1990年(平成2)
・『角川日本地名大辞典29・奈良県』永島福
太郎ほか編(角川書店)1990年(平成2)

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