▼山の軽口ばなし
本文のページ(03)
【とよだ時】(豊田時男)
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▼奥武蔵・武甲山のマツとフジ(1)
【説明本文】
埼玉県奥武蔵の武甲山(ぶこうさん)は石
灰岩採掘がながく行われ、山自体の形まで変
わってしまったありさま。この石灰岩採掘事
業は幕末から行われてきたといいます。武甲
山は標高1295m、二等三角点があり、三角点
名「武甲山」になっています。しかし、2003
年三角点西側に最高点1304mを測量したとい
います。
この山の七合目から上にはマツとフジは育
たないという伝説があります。それにはこの
あたりの領主畠山重忠(鎌倉初期の武士)に
からんでいます。武甲山には日本武尊が東征
の時、戦勝を祈願して甲を埋めて建てたとい
われる祠があります。
かつて重忠と梶原景時(重忠を謀反の罪を
着せようとした人物)が、山頂の祠がどっち
向きかについて激論したことがあったといい
ます。重忠は南向きだといい、景時は北向き
だといい張ります。
それではというので山頂に登ってみたとこ
ろ重忠がいうとおり南向きでした。負けた梶
原景時はその罰として、生えていたマツの木
にフジの蔓できつく縛られてしまいました。
くやしがった景時は「これからはこの山にマ
ツとフジは生えるな!」と呪ったというので
す。
それからというもの武甲山にはマツとフジ
が生えなくなったといいます。ふもとの横瀬
地区の村人も本当にマツとフジは1本もない
という話です。祠の向きなど、どっちでもい
いと思いますが、かねてからの遺恨でもあっ
たのでしょうか。ところで山頂の祠はどっち
向きでしたっけ。
▼武甲山【データ】
【所在地】
・埼玉県秩父市と埼玉県秩父郡横瀬町との
境。秩父鉄道浦山口駅から歩いて2時間40分
で武甲山。二等三角点(1295.4m)と写真測
量による標高点(1304m)と武甲御岳神社の
祠がある。
【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWeb
システム」から検索)
・三角点:北緯35度57分06秒、東経139度05
分53秒
【地図】
・2万5千分の1地形図「秩父(東京)」
▼【参考】
・『続・植物と神話」近藤米吉編著(雪華社)1
976年(昭和51)
・『日本山名事典」徳久球雄ほか(三省堂)2
004年(平成16)
・『日本架空伝承人名事典」大隅和雄ほか(平
凡社)1992年(平成4)
・『増補ものがたり奥武蔵」神山弘ほか(金
曜堂出版部)1984年(昭和59)
▼そのほかの山は【こちら】↓
https://toki.moo.jp/gaten/index.html
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