▼山の軽口ばなし
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【とよだ時】(豊田時男)
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▼神奈川県・箱根駒ヶ岳と神山
【説明本文】
温泉の観光地・箱根。その箱根と切り離せない芦ノ湖
は、早川が神山北西斜面の溶岩流でせき止められてでき
た堰止め湖。古期カルデラと駒ヶ岳西麓との間に生じた
細長い湖です。もともと箱根とは足柄という地域の内の
一部地名をいうもので、神山・箱根駒ヶ岳・二子山の西
側の根方まわりを指しての呼び方であったといいます。
箱根火山は三重火山で、外側を囲む古期外輪山と、内
側を囲む新期外輪山、その内側に中央火口岳がならんで
います。古期外輪山は金時山・明神ヶ岳・明星ヶ岳・白
銀山・大観山・海ノ平・三国山・長尾峠など外側を囲む
山々。その中に新期外輪山の浅間山・鷹ノ巣山・屏風山
があります。またその中にあるのが中央火口丘の神山・
箱根駒ヶ岳などだそうです。箱根駒ヶ岳は標高1356m。
【▼山名と祭神】
箱根の最高峰は神山(1438m)で、古代山岳信仰の聖
地とされ、山名は「神のすむ山」から由来しているとい
います。せまい山頂には「天照主大御神・あまてらすお
おみかみ」の石碑があるだけ。神山は箱根神社の神の降
臨する場として、駒ヶ岳山頂はこれを遙拝するところだ
といいます。
箱根神社の祭神は箱根大神と称し、瓊瓊杵尊(ににぎ
のみこと・天孫降臨神話の主役)・木花開耶姫(このはな
さくやひめ・富士山浅間神社の祭神)・彦火火出見命(ひ
こほほでみのみこと・瓊瓊杵尊と開耶姫との子)の3神。
箱根権現とも呼ばれています。箱根神社の奥宮は駒ヶ岳
で、箱根元宮という上宮が鎮座しています。
【▼箱根神社と駒ヶ岳の開創】
ところで箱根神社の縁起も時代がかっています。この
神社は、孝昭天皇(「日本書紀」の記述から換算すると、
第5代天皇で在位475B.C.〜393B.C.)の時、聖占仙人が
駒ヶ岳の山頂に権現を拝して「神仙宮」を開創したのに
はじまるという(筥根山縁起并(ならびに)序)。
その後変遷はあるものの奈良時代になり、757年(天平
宝宇元)、万巻上人という人が、箱根大神の3神の夢告を
受けてこれを天皇に奏上し、勅許を得て神殿寺院をつく
りました。
この時、駒形・能善の2神を主神の左右に配して五所
としたといいます(筥根山縁起并序)。これが箱根神社と
箱根駒ヶ岳の開創ということになっているそうです。そ
れにしても紀元前ン百年とは!。ほんとかいな。
▼箱根駒ヶ岳【データ】
・神奈川県足柄下郡箱根町。東海道本線小田原駅の北西2
0キロ。箱根登山ケーブル早雲山駅から歩いて2時間10分
で神山(1438m)、さらに1時間10分で箱根駒ヶ岳。写真
測量による標高点(1356m)と、箱根元宮と、ロープウ
ェーの駒ヶ岳山頂駅がある。
★【ご利益】
・箱根神社元宮:金運、縁結びや恋愛成就
★電子国土ポータル【位置】
・箱根駒ヶ岳標高点:北緯35度13分28.45秒、東経139度0
1分29秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」
から検索)
★【地図】
・2万5千分の1地形図「箱根(横須賀)」
▼【参考文献】
・『角川日本地名大辞典14・神奈川県」伊倉退蔵ほか編(角
川書店)1984年(昭和59)
・『古代山岳信仰遺跡の研究」大和久震平著(名著出版)
1990年(平成2)
・『山岳宗教史研究叢書17』(修験道史料集(1)」五木重
編(名著出版)1983年(昭和58)
・『新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年
(平成17)
・『日本山名事典』徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成
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