【本文】のページ
山里の伝承【ふるさと祭事記】(08)
【とよだ 時】
(イラスト本ではありません)
……………………………………
▼鴻雁来る「寒露・初候」第49項(七十二候)(10月09日〜12日) |
……………………………………
……………………………………
▼鴻雁来る「寒露・初候」第49項(七十二候)(10月09日〜12日)
【本文】
カレンダーの10月9日ころの欄に「寒露」と書かれています。「寒
露(かんろ)」は、1年を24に区切ってそれぞれにその季節にふさ
わしい名前をつけた「二十四節気(せっき)」の1つ。次第に秋が
深まってきて、露が冷たい空気にあたり、凝結して霜になるころ。
野の草についた冷たい露が「寒露」。野山は晩秋の気配につつまれ、
朝晩、そろそろ肌に寒気も感じられます。
江戸時代の1808年(文化5)刊鳥飼洞斎の『改正月令博物筌』と
いう本には「露凝(むす)んで霜とならんとするゆゑ、寒露と名
づく」とあります。また江戸時代の『暦便覧』には「陰寒の気に
合って、露むすび凝らんとすればばり」と解説しています。
このころは、五穀の収穫もたけなわ。混ざり穂抜き、稲刈り、
乾燥、脱穀、種もみ取りと農家は忙しい毎日をおくります。「家を
めぐる広き稲穂田次々に刈られゆきつつ冬近づきぬ」(清和/松村
満雄)
いまは自脱式コンバインにより、刈り取りと脱穀を同時作業し
てしまうのが大半ですが、それでも小さな稲田では、手刈りやバ
インダーで刈り取っています。
刈り取ったばかりのもみ米は、20〜25%もの水分を含んでおり、
脱穀には水分を14%以下にしなければならないため、地面になら
べる「地干し」や杭や棒、竹などでつくった稲架(はさ)に干し
たりします。
「寒露」は太陽の黄経が195度になった時で、秋分から15日めで
す。立冬までの15日をさらに細かく分けた「七十二候」というも
のもあります。寒露の時期をを初候、二候、三候の3つに分け、
初候(鴻雁来)、二候(菊開花)、三候(蟋蟀在戸)のころだと解
説しています(『宝暦暦』)。
つまり初侯の「鴻雁来る・こうがんきたる」大小のガンが列を
つくって日本へ飛んでくるころ。二侯の「菊花開く」は野菊が開
き始めるころ。三侯の「蟋蟀(しっしゅつ)戸に在り」は、キリ
ギリスが戸口まで近寄って鳴くころとしています。これは中国の
七十二候を日本の風土に合わせて解説しなおしたものだそうです。
しかし日本は南北に細長い国。北と南では気候が違います。そ
こで現代では北日本、中部日本、西日本の3つに分け、それぞれ
の解説をしています。
北日本では、初候を「初霜」、二候を「カエデ紅葉」、三候を「畜
舎防寒」。また中部日本では、「ガン渡来」、二侯を「キク開花始め」、
三侯を「カモ渡来」の順。西日本では、初侯を「山羊種付け」、二
侯を「サツマイモ収穫」、三侯を「ツル渡来」のころだとしていま
す。
▼【参考文献】
・『暦の百科事典』暦の会(新人物往来社)1986年(昭和61)
・『七十二候 世界で一番おもしろい暦の本』落合正勝(KKベスト
セラーズ)1994年(平成6)
・『日本大歳時記・秋』水原秋櫻子ほか監修(講談社)1989年(昭
和64・平成1)
・『日本年中行事辞典』鈴木棠三(角川書店)1977年(昭和52)
上記は『ふるさと祭事記』から引用しています。
ご希望の方にお分けしています。CD本の名前を書いてご連絡下さい。
(【こちら】を右クリックすると、「メールアドレスのコピー」の項があらわれます)
………………………………
【とよだ 時】 山の伝承探査
山旅通信【ひとり画っ展】発行
【時U-moあ-と】すたじお
山旅はがき画の会
【TOP】ページ
………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………