山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼911号 高山植物・イワイチョウ

イワイチョウは「岩公孫樹」で葉っぱの形がイチョウに似ている
(??)ところからついた名だといいます。「イワ」は岩のあるよ
うなところにあるからといいます。また一名ミズイチョウともいう
そうです。ミズは「水」で、やはり生える場所を表したものだそう
です。星形の白い5弁の花を上向きにつけます。
(本文は下記にあります)

【本文】

ムッと草いきれのする登山道からちょっと下って、残雪のふちをま
わり込みます。その雪が溶けて消えたばかりの湿った場所に、濃緑
色で質の厚い腎円形の葉のイワイチョウが群生しています。イワイ
チョウは「岩公孫樹」で葉っぱの形がイチョウに似ている(?)と
ころからついた名だといいます。

「イワ」は岩のあるようなところにあるからといいます。また一名
ミズイチョウともいうそうです。ミズは「水」で、やはり生える場
所を表したものだそうです。群生した葉っぱの中から花茎を出して
その先に星形の白い花をたくさんつけています。広がるイワイチョ
ウの咲く草原、その先の一面の黄色い花。稜線から白く糸を引くよ
うに流れる残雪。登山者が汗を拭いて休憩しています。

イワイチョウは、葉は長い柄があって根元から生え(根生葉)、じ
ん臓形で厚く光沢があり、先はへこんでいます。そしてふちにはこ
まかい鋸歯があります。夏に長さ約20〜40センチもの緑色の花茎
を出して、先端に集散花序のような枝を分かち、星形に開いた白い
5弁の花を上向きにたくさんつけます。

雄しべ5本。雌しべは1本。花冠のふちに波状のしわがあり、中央
に白いニワトリのトサカのようなひだができています。そんなこと
からか、イワイチョウは種名をクリスタ-ニガリといい、ニワトリ
のトサカの意味だそうです。

長雄蕊花(ゆうずいか)と短雄蕊花があって株が異なるとか。リン
ドウ科イワイチョウ属の多年草。イワイチョウ属はこの一属一種で、
日本産を亜種として区別する説もあるといいます。

▼イワイチョウ【データ】
・リンドウ科イワイチョウ属の高山の湿原に生える多年草。

【参考文献】
・「高山植物」(野外ハンドブック・8)小野幹雄ほか(山と渓谷社)
1985年(昭和60)
・『植物の世界2巻・22号』(週刊朝日百科)(朝日新聞社)1994年
(平成6)
・『世界の植物巻2・17号』(朝日新聞社)1976年(昭和51)
・『日本大百科全書・2』(小学館)1985年(昭和60)
・『日本の野草』(山と渓谷社)1983年(昭和58)
・『牧野新日本植物図鑑』牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

ゆ-もぁイラスト・漫画家・
山と田園の画文ライター
【とよだ 時】

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