【本文】
山の植物にバイケイソウ(梅尅吹jという多年草があります。山地
帯から亜高山帯の林の中や湿った草原に生え、高さが1〜1.5メー
トルと大形で、夏に大きな円錐花序に緑白色で2センチほどの花を
ビッシリつけます。
これとよく似たコバイケイソウ(小梅尅吹jはその仲間で、深山や
高山帯の残雪のまわりのやや湿った草地などに多く生えています。
山を歩く人たちにはおなじみです。
高さは1メートルくらい。葉は、バイケイソウより丸い感じで、太
い茎を抱くように互生(互い違いに生やす)しています。
7月ごろ、複総状花序(総状花序とは中心に1本の軸があり、そこ
から出た複数の枝がそれぞれ花になる)に小型の白い花をビッシリ
と咲かせます。
茎や葉ともにバイケイソウに似ていますが、花は白く穂が大きい。
花が集まった花穂をみるとこちらの方が立派で、コバイケイソウと
呼ぶのはかわいそうな気がします。
花がない時にバイケイソウと見わけるには、葉の裏の毛の状態をみ
るのが分かりやすいという。コバイケイソウの葉の裏は毛がないか、
葉脈の上にかたい小さな突起がならんでいるそうです。
さらにこの突起のあるものをとくにウラゲコバイケイとして区別す
ることも多いという。このふたつは、しばしばくっついた場所に生
えて、コシジバイケイソウのように雑種ができるそうです。根茎は
有毒だそうです。
・ユリ科シュロウソウ属の多年草。
小梅尅錐s者白雲まとひ来ぬ 岡田日郎
【参考文献】
・「高山植物」(野外ハンドブック・8)小野幹雄ほか(山と渓谷社)
1985年(昭和60)
・『世界の植物巻9・100号』(朝日新聞社)1977年(昭和52)
・『牧野新日本植物図鑑』牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)
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