山の伝承伝説に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼850号 黄金の杯で一献、高山植物シナノキンバイ

高山のお花畑でよくみかけるシナノキンバイ。よく目立つ黄金の
花びらのようなのは、実はがくで広倒卵形の形をしていて杯のよ
うにも見える。がく片は5〜7枚。茎の高さ30〜50センチ。根元
には枯れた古い葉鞘の繊維が残る。南限は北陸の白山、南限は北
海道の夕張岳あたりだという。
【本文】は下記にあります。

▼850号 「黄金の杯で一献、高山植物シナノキンバイ」

【本文】
高山植物のシナノキンバイは登山者におなじみです。夏山のまだ
残雪がある湿ったお花畑、よく目立つ黄金色の花が群生している
姿はみごとです。

シナノキンバイは、漢字で「信濃金梅」。長野県に多くキンバイソ
ウに似た花の意味だそうです。

キンバイソウは、梅の形をした金色の花です。シナノキンバイは
キンポウゲ科キンバイソウ属の多年草で、茎の高さ30〜50セン
チ。根元には枯れた古い葉鞘の繊維が残っています。

葉はやや厚く、堅くて光沢があります。葉は掌状に深く五つに裂
け、さらに中裂して鋭いノコギリのようなギザギザがあります。

根元から出る葉や茎の下の方の茎葉は長い柄をもっていますが、
上の方は短くなっているか、ほとんどなくなっています。

7〜8月、茎の先端に直径4センチくらいの金色の花を一個ずつ、
上向きに咲かせます。黄金の花びらのように見えるのは、実はが
くで広倒卵形の形をしていて杯のようにも見えます。

がく片は5〜7枚。花びらはというと非常に小さく、がくのなか
にある濃いだいだい色をした細い線のようなものだそうです。雄
しべより短く6〜9ミリで下部に蜜腺があります。

雄しべはたくさんついて、雌しべは数個から十数個程度。果実は
袋果で丸く球状に集まり、6〜13個。長さ3ミリくらいの花柱が
残ってつきます。北海道、本州中部地方に分布しています。

シナノキンバイは、北陸の白山(岐阜・石川県境)が南限で、北海
道の夕張岳や暑寒別(しょかんべつ)岳が北限だそうです。これよ
り北にはシナノキンバイの母種といわれるチシマノキンバイソウに
なるという。

チシマノキンバイソウは、シナノキンバイより花柱がもっと短く
がく片が狭いそうです。北海道の高山帯、千島、カラフト、カム
チャツカに分布しています。

キンバイソウ属には、シナノキンバイの他、キンバイソウ、チシマ
キンバイソウ、レブンキンバイソウ、ボタンキンバイソウなどがあ
るという。

属の名前にもなっているキンバイソウは、本州中部の亜高山帯の
草地などに生え、高さは大きいものでは1mにもなるそうです。
日本特産。シナノキンバイにくらべ、花弁が雄しべより長いとこ
ろが違うという。

レブンキンバイソウはその名のように北海道の礼文島に生えていま
す。またボタンキンバイソウは、北海道利尻島の高山草原に生える
特産品。がく片が9〜16枚と多く、名前のとおり牡丹咲きになる
そうです。雌しべの先が赤紫色に色づき、昆虫に蜜のありかを示す
蜜標となっているのだという。

ロシアではこの仲間は寒冷地のため平地にふつうに生えているとい
う。地元では待ち遠しい春を告げる身近な花とされているそうです。
そして他の仲間の花々とともに「アガニョーク(炎)」と呼ばれて
親しまれているそうです。

また、同じ「キンバイ」がつくもので、ミヤマキンバイがありま
すが、これはバラ科。茎の高さ10〜20センチで花も径が2セン
チと小さい。
・キンポウゲ科キンバイソウ属の多年草

【参考文献】
・『植物の世界8巻・92号』(週刊朝日百科)(朝日新聞社)1996年
(平成8)
・「世界の植物6・69」(朝日新聞社)1977年(昭和52)
・『日本大百科全書・11』(小学館)1986年(昭和61)
・「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1961年(昭和36)

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山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
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