山の伝承伝説に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼762号 「一生に一度の花を咲かすシシウド」

【概略】
猪が食べる?ようなかたくて丈夫なシシウドも人間さまは若苗をア
ク抜き、おひたし・ゴマ和えなどにして胃袋に納めるという。シシ
ウドは種子から芽が出て花を咲かす茎が出るまで4〜5年もかか
る。そして一度花が咲き、結実すればもう一生が終わるのだそうで
す。
・セリ科シシウド属の多年草。

▼762号 「一生に一度の花を咲かすシシウド」

【本文】
真っ青な空、白い雲わく高原。まだ若いシシウドの花が開ききらず、
薄い皮をかぶっています。もう何日かすると、傘のような白い花を
咲かすでしょう。かたくて丈夫なウドなので、イノシシが食べるの
にちょうどよいというので、こんな名前がつきました。

イノシシが食うようなウドだといいながら、人間さまは若苗を茹で
てアク抜きし、おひたし、ゴマ和えなどにし胃袋に納めてしまうと
いうからイノシシもあきれ顔です。

こんなシシウドも種子から芽が出て、花を咲かす茎が出るまで4〜
5年もかかるという。そして一度花が咲き、結実すればもう一生が
終わるといいます。

シシウドは薬草だともいいます。薬用部は根っこ。生薬名はドッカ
ツ(独活)といい、10〜11月ごろ掘り出して風通しのよい場所で陰
干しし、のち天日で乾かします。

成分は精油を含むほかは不明ながら、民間薬としてリュウマチ、中
気、頭痛によいという。漢方では独活寄生湯・どくかつきせいとう
(独活、桑寄生、牛漆など、モロモロを混ぜて)。坐骨神経痛の薬
に利用されています。

このシシウドも昔は雑草のようにふつうに生えていました。子ども
たちは水鉄砲・やじろべえなどの草花遊びをしたものです。高山に
あるのはミヤマシシウド。

シシウドにくらべ葉が大きく毛がほとんどないという。見飽きるほ
ど見ているくせに気がつかないものです。こんど気をつけ見てみよ
う。
・セリ科シシウド属の多年生大形草本

▼【データ】
★【参考文献】
「カラーブックス草花遊び」
「植物の世界・28」(朝日新聞社)1996年(平成8)
「世界の植物・26」(朝日新聞社)1975年(昭和50)
「野の本・山の本・夏」とよた 時(誠文堂新光社)1988年(昭和63)
「野山の薬草」山西潔(北隆館)1974年(昭和49)
「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

 

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