山の伝承伝説に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼758号 「山の花・イワカガミ」 

【概略】
イワカガミは岩鏡。その小さいのがコイワカガミ。高山植物として
おなじみの花です。この種は葉の大きさや形が地方によって、また
山の高さによっていろいろな変わり方をしているので、それぞれに
いろいろな名前がついているのだそうです。
・イワウメ科イワカガミ属の常緑多年草。

▼758号 「山の花・イワカガミ」 

【本文】
山歩きをしていると、ちょっとした岩場などに、テカテカと光った
堅い葉をつけ、淡紅色をした花冠が深く鋸(のこぎり)の歯のよう
にギザギザになった花が咲いています。

この堅い葉の光り方が、まるで鏡のようだというのでイワカガミ(岩
鏡)の名前があるのだそうです。

イワカガミの小さいのが、高山植物のコイワカガミ(小岩鏡)です。
コイワカガミは、イワカガミに比べ葉の鋸歯がほとんどなくなって
いますが、特別の品種ではないといいますから迷います。

イワカガミというと、必ず岩場にあるように感じますがそうでもな
く、尾瀬のような湿原にも多くあります。イワカガミは、イワウメ
科イワカガミ属の常緑多年草。

茎は地面で枝分かれして、葉には長い柄があり、根もとにむらがっ
てついています。葉は丸く、ふちに鋸歯があって、革質で表面が光
っています。

春から夏にかけて、高さ10センチくらいのまっすぐな花茎をのばし、
その先端に、総状花序(柄のある花が、軸から離れて互いちがいに
ついて房のようになる)の花を咲かせます。

花は、淡紅色で美しく、3〜6個開きます。花冠は径1〜1.5セン
チの筒形、花弁のふちは細かく裂けています。

葉の形や大きさが、地方や山の高さによって、いろいろな変わり方
をしているので、それぞれにいろいろな名前がついていますが、種
としてはおなじものだそうです。北海道から本州、四国、九州に分
布しています。

岩鏡咲きかぶりさりし清水かな(中村素山)。いわかがみ霧が暗し
と灯をともす(藤岡筑邨)
・イワウメ科イワカガミ属の常緑多年草。

▼【データ】
★【参考】
「高山植物・花の伝説」ナカザワ
「世界の植物・3」(朝日新聞社)1975年(昭和50)
「植物の世界・6」(朝日新聞社)1996年(平成8)
「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)
「日本大歳時記・夏」監修・水原秋桜子ほか(講談社)1989年(平
成1)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

 

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