山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

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▼753号 「山の花・エンレイソウは延齢草」

【概略】
林の中に大きな丸っこい3枚の葉のつけねからでた花柄に赤紫色や
緑色の花をつけた植物を見つけます。エンレイソウ(延齢草)とい
う多年草です。名前は「齢を延ばす草」ですが、猛毒ではないが毒
草の一種だそうです。標高が高くなると白い花のミヤマエンレイソ
ウが生えています。

▼753号 「山の花・エンレイソウは延齢草」

【本文】
いまごろ山道などを歩いていると、林の中に大きな丸っこい3枚の
葉のつけねからでた花柄に赤紫色や緑色の花をつけた植物を見つけ
ます。エンレイソウ(延齢草)という多年草です。

名前は「齢を延ばす草」ですが、猛毒ではないが毒草の一種だそう
です。赤紫色の花弁のように見えるものは、実はがく片で、これは
エンレイソウ植物の中で唯一花弁のない種だという。

花のあと、3室に種子を入れる液果になります。液果は球形で、熟
すと果肉の部分が甘くなるため、アリによって運ばれといいますが
アリには毒は通じないのでしょうか。

果実の色によって4変種に分けられ、緑色のアオミノエンレイソウ
・暗紫色のクロミノエンレイソウ・緑色に紫色の斑のあるウスグロ
ミノエンレイソウ・赤いアカミノエンレイソウがあります。

3枚の葉がよく目立ち、3を基数にしたユリという意味の「トリリ
ウム」の属名があります。また、種小名をアペタロンといい、内花
被がない意味だそうです。

毒草というのは裏返せば薬草です。民間療法では胃腸病によいとい
う。しかし、胃腸病によいというが、漠然とした病名判断で用いる
のは誤りと専門書にありました。この植物にはタチアオイの別名も
あります。

標高の高いところではミヤマ(深山)エンレイソウがあります。こ
れはシロバナ(白花)エンレイソウともいい、白い花を咲かせます。
・ユリ科エンレイソウ属の多年草。

▼【データ】
・【参考】
・『原色版日本薬用植物事典』伊沢凡人(誠文堂新光社)1980年(昭
和55)
・「植物の世界・10」(朝日新聞社)1996年(平成8)
・「世界の植物・9」(朝日新聞社)1977年(昭和52)
・『日本大百科全書3』(小学館)1985年(昭和60)
・『日本の野草』(山と渓谷社)1983年(昭和58)
・『牧野新日本植物図鑑』牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

 

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山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

 

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