山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

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▼725号 「北ア・剱岳山頂の発見物」

【概略】
1907(明治40)年柴崎測量官の一行が、誰も登った人がいないと思
っていた山頂で錫杖の頭と鉄刀と、石窟で木炭を発見。平安時代初
期のものと判明して大騒ぎ。国の重要文化財に指定。石窟は奥壁の
上部がせり出し雨露はかろうじて凌げる程度だった。
・富山県上市町と立山町との境

▼725号 「北ア・剱岳山頂の発見物」

【本文】
信州側の伝説によると、長野県戸隠村の戸隠明神の本体は九頭竜で
その尾が剱岳を7巻き半しているという。

ここは昔から登ってはならないとされた不入の山。1907(明治40)
年柴崎測量官の一行が、誰も登ったことがないと思っていた剱岳山
頂で錫杖の頭と鉄刀、さらに山頂わきの石窟で木炭を発見。鑑定の
結果平安時代初期のものと判明して大騒ぎ。国の重要文化財に指定
されています。

錫杖頭は「鋳銅製で長さ13.4センチ、心葉形の外輪に6個の金剛牙
がつき、輪内の厥手形の上に、外輪とは逆方向の心葉形内輪がつく。
内輪の中心に中央の宝瓶形の頂部が接合され、輪の二つの頂点に柄
を伴う珠目がつく。類例が見あたらない形態で、定型の成立以前の
ものと見ておきたい」(「古代山岳信仰遺跡の研究」)。

木炭のあった石窟は山頂の斜め下のところ。山頂の祠を見上げる位
置で、高さ約2m、底幅2mくらい。奥行き3mくらい。奥壁の上
部がせり出しています。

底は登山者が捨てたのか空き缶やゴミで埋まっています。興味はあ
りますがちょと泊まる気になりませんでした。

▼【データ】剱岳(つるぎだけ)
・【所在地】
・富山県中新川郡上市町と富山県中新川郡立山町との境。富山地方
鉄道立山線立山駅の北東19キロ。富山地方鉄道立山駅からケーブル
美女平からバス・室堂から歩いて6時間30分で剱岳。三等三角点(2
997.07m)と写真測量による標高点(2999m・標石はない)と、須
佐之男神をまつった剱岳神社の小祠がある。地形図に山名と三角点
の標高と標高点の標高のみ記載。付近に何も記載なし。

・【名山】
「日本百名山」(深田久弥選定):第48番選定(日本二百名山、日
本三百名山にも含まれる)
「新日本百名山」(岩崎元郎選定):第42番選定

・【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
【標高点】緯度経度:北緯36度37分23.76秒、東経137度37分00.7秒
【三等三角点】緯度経度:北緯36度37分24.09秒、東経137度37分1.
7秒

・【地図】
2万5千分の1地形図「剱岳(高山)」or「十字峡(高山)」(2図葉
名と重なる)。5万分の1地形図「高山−立山」

・【参考】
「古代山岳信仰遺跡の研究」大和久震平著(名著出版)1990年(平
成2)
「富山県山名録」橋本廣ほか(桂書房)2001年(平成13)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

 

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