山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼694号 「山の植物・ゴゼンタチバナの赤い実」

【概略】
秋の山歩き、うっかり踏んでしまいそうな小さな実。白山の御前峰
で発見し、カラタチバナのように赤く熟す高山植物。ゴゼンタチバ
ナは6枚の葉が車輪のようにつき、その真ん中に総苞片をつけ、中
央に20〜30個花を咲かせ実を結ぶ。
・ミズキ科ゴゼンタチバナ属の小形常緑多年草

▼694号 「山の植物・ゴゼンタチバナの赤い実」

【本文】
秋の山歩き、うっかり踏んでしまいそうな小さな赤い実。山道の岩
の間に生えたゴゼンタチバナの実に登山者は声をかけ合います。

ゴゼンタチバナは漢字で御前橘。この草は北陸白山の最高峰の御前
峰(2702m)で発見されました。

そして実がカラタチバナ(ヤブコウジ科)のように真っ赤に熟すの
でこんな名前がつけられたという。

ゴゼンタチバナは6枚の葉が車輪のようにつき、7月ごろ、その真
ん中に白い4枚の花びらをつけます。ところが実はこれは総苞片だ
そうです。本物の花は中央に20〜30個集まっている芯のようなもの
というから分かりません。

草の高さは7〜12センチと小さい。葉は楕円形で実は2枚が向かい
合って生えています。そこから腋生した短い枝にそれぞれ2枚ずつ
葉がまた向かい合って生えているので、上からみると、まるで6枚
の葉が輪生しているように見えます。

車輪のような葉の様子から覚えやすい野草です。北海道から本州、
四国の亜高山の針葉樹林の下に分布しています。
・ミズキ科ゴゼンタチバナ属の小形常緑多年草

▼【データ】
【参考】
・「世界の植物・3」(朝日新聞社)1975年(昭和50)
・「植物の世界・4」(朝日新聞社)1996年(平成8)
・「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)
・「日本の野草」(山と渓谷社)1961年(昭和36)
・「日本大百科全書」全25巻(小学館)1989年(平成1)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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