山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼693号 「山の花・ミヤマオダマキ」

【概略】
がれき地に鮮やかな紫色の花を咲かせる高山植物のミヤマオダマ
キ。夏山でおなじみだ。園芸植物のオダマキはこの野草から作り出
したものという。漢字で深山苧環(おだまき)。花の形がつむいだ
麻糸を中を空洞にして丸く巻いた苧環に似ているからという。
・キンポウゲ科オダマキ属の多年草

▼693号 「山の花・ミヤマオダマキ」

【本文】
夏山でがれき地に鮮やかな紫色の花を見つけた登山者がよく写真を
撮っています。高山植物のミヤマオダマキです。

この植物は古くから園芸植物として栽培されてきたオダマキの変
種。変種というよりは、ミヤマオダマキからオダマキがつくられた
と考えられているそうです。

ミヤマとは深山の意味。オダマキは苧環とか苧手巻と書かれ、花の
形がつむいだ麻糸を中を空洞にして丸く巻いた「苧環」に、また「苧
玉(おだま)」に似ているからといいます。

根元から生える葉は、1〜2回の三出複葉(枝のわきの小枝に三枚
の小葉をつけたり、その先端にまた三枚の小葉をつける)。

夏には葉よりも高く、10〜20センチくらいに茎を抜き出し、その先
に直径3センチもの青紫のきれいな花を下向きに咲かせます。花数
は少なくたいてい1花しかつけません。

がく片は五個で広く開き広卵形。花弁は五枚で長さ1〜1.5センチ。
がく片より短く、長方形で黄色みをおぶび基部に長い距(けづめの
ような突起)があり、先が内側に巻き込んでいます。

栽培種のオダマキは葉の表面が粉白色を帯びていますが原種のミヤ
マオダマキは粉白色をおびていません。似ているものにヤマオダマ
キがあります。

山地に生えるのがヤマオダマキで、深山に生えるのがミヤマオダマ
キというワケです。山いづる太陽光ををがみたりをだまきの花咲き
つづりたり(斎藤茂吉)。

これはおそらくヤマオダマキを歌った歌だろうとされています。
・キンポウゲ科オダマキ属の多年草

▼【データ】
【参考】
・「世界の植物・6」(朝日新聞社)1975年(昭和50)
・「植物の世界・8」(朝日新聞社)1996年(平成8)
・「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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