山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼685号 「谷川岳・西黒沢白鷺滝の伝説」

【概略】
ある晩秋、越後から蓬峠を越え、上州に向う山伏たちが道に迷った。
暗闇の滝のそばで光を放つ不思議な白鷺に出会った。白鷺は一行を
土合の里まで道案内した。山伏たちはお札を白鷺の足に結びつけ、
「この白鷺を守らせたまえ」と神仏に祈った。その滝は「白鷺の滝」
と呼ばれるようになった。
・群馬県みなかみ町

▼685号 「谷川岳・西黒沢白鷺滝の伝説」

【本文】
谷川岳西黒尾根の南側西黒沢、谷川岳ロープウェイの真下あたりに
「白鷺滝」という滝があります。いまでもロープウェイから眼下に
眺められます。

昔、雪もちらつく晩秋に、越後から蓬峠を越えて上州に向う山伏の
一行がありました。秋の日脚は早く、蓬峠にさしかかるころには陽
も暮れていました。

しばらくして道に迷っていることに気がつきました。 暗闇の山中。
いまにも引き込まれそうな滝の音。その時、前方に不思議な明るい
光が見えました。

近づいてみると滝つぼの近くに白鷺がいて、銀色の光を放っていま
す。光はますます輝きを増し、道案内をするように谷間を照らしま
す。

一行はその白鷺の光を頼りに山道を下りはじめました。やがて土合
の里に着きました。

一行は白鷺に厚く礼を言い、お札をその足に結びつけ、「この白鷺
を守らせたまえ」と神仏に祈りました。それからというもの、里人
は西黒沢から流れ落ちる滝を「白鷺の滝」と呼ぶようになったとい
うことです。

▼西黒沢白鷺の滝【データ】
【所在地】
・群馬県利根郡みなかみ町(旧利根郡水上町)。JR上越線土合駅
から歩いて1時間で白鷺の滝。付近に何もなし。地形図上には西黒
沢の文字のみ記載。付近に何も記載なし

【位置】国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索
【白鷺滝】緯度経度:北緯36度49分44.13秒、東経138度57分19.11


【地図】
・2万5千分の1地形図「水上(高田)」&「茂倉岳(高田)」(2図
葉名と重なる)

【参考】
・「日本の民話300」木馬書館 1993年(平成5)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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