山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼683号 「中ア恵那山・足もとのウリ坊」

【序文】
恵那山の「前宮ルート」から登ったかえり、林道の真ん中で何か動
くものがいる。近づくとウリ坊だった。やっとこちらに気づき、わ
れに返ったその慌てぶりのかわいいこと。足早に立ち去ったけれど、
遠くで農家の人が現場とこちらを見比べている。きっと母イノシシ
が出てきたに違いない。
・岐阜県中津川市

▼683号 「中ア恵那山・足もとのウリ坊」

【本文】
恵那山の恵那山神社は「日本書紀」にも出ているほど古く、山頂に
奥宮本社の祠が、西麓の川上地区には前宮本社が鎮座しています。

明治時代、ウエストンもこの山に登り、同地区にはウエストン公園
もあります。

西麓からの登山道「前宮ルート」はもっとも古いルートで、かつて
は修験者も歩いた登山道。山頂からの帰途、木から飛び降り逃げ去
る熊の気配。

ことしは熊が民家に出てくるニュースが多い。登山口の河原でテン
ト。翌朝早くバス停に急ぎます。前宮本社近く、小さな生き物が林
道のクルマのわだちに頭をつっこんでいます。

ウリ坊のエサ探し。ためらいましたが、バスの時間も気にかかりま
す。やっと気がついたウリ坊、大慌て…。そのかわいいこと。

しかし、親イノシシが近くにいるに違いない、立ち去るにかぎりま
す。かなり遠のいた時、遠くで田んぼ仕事をしていた農家の人が立
ち上がって、こちらと「現場」方面を見比べています。母親が出て
きたに違いありません…。南無三、クワバラ、猪八戒。

▼恵那山【データ】
【山名・異名・由来】
・恵那山(えなさん)天照大神が降誕時・胞衣を山中に埋めたとい
う伝説。:覆舟山(ふなふせやま)伊勢湾から望むと舟を伏せた形
に見えるため。

【所在地】
・長野県下伊那郡阿智村と岐阜県中津川市との境。中央本線中津川
駅の南東11キロ。JR中央本線中津川駅からウエストン公園行きバ
スで終点下車、さらに歩いて20分で恵那山登山口。歩いて5時間20
分で恵那山頂(標高点)、さらに10分で三角点のあるピーク。山頂
に写真測量による標高点(2191m)と避難小屋がある。三角点のあ
るピークには一等三角点(2189.8m)と恵那神社の祠は奥にある。

【ご利益】
・【恵那神社奥宮】:子宝授け・安産

【名山】
・深田久弥選定「日本百名山」(第76番選定):日本二百名山、日
本三百名山にも含まれる。
・清水栄一選定「信州百名山」(第84番選定)
・田中澄江選定(1995年)「新・花の百名山」(第73番選定)

【位置】国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索
・【恵那山頂標高点】緯度経度:北緯35度26分34.87秒、東経137度3
5分52.50秒
・【三角点のあるピーク一等三角点】緯度経度:北緯35度26分25.42
秒、東経137度36分01.78秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「中津川(飯田)」。5万分の1地形図「飯
田−中津川」

【参考文献】
・「角川日本地名大辞典20・長野」(角川書店)1991年(平成3)
・「日本歴史地名大系20・長野県の地名」(平凡社)1979年(昭和54)
・「角川日本地名大辞典21・岐阜県」野村忠夫ほか編(角川書店)
1980年(昭和55)
・「日本歴史地名大系21・岐阜県の地名」(平凡社)1989年(平成
元)
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「日本山名事典」徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成4)
・「日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫(竹書房)1997年(平成9)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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