山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼682号 「関東地方西部の岩場の花・コイワザクラ」

【概略】
かつて5月のゴールデンウイークには箱根・金時山でもコイワザク
ラが見られたという。しかし乱獲で激減しているというけれどいま
はどうだろうか。関東の山でも、丹沢の奥など人の滅多に入らない
岩場では紅紫色の花を見せてくれている。
・サクラソウ科サクラソウ属の小形の多年草

▼682号 「関東地方西部の岩場の花・コイワザクラ」

【本文】
紅紫色の5弁花で切れ込みがありサクラの花によく似たサクラソウ
という野草があります。その岩に生えるのがイワザワラです。また、
その小さいのがコイワザクラです。

サクラソウは、江戸時代初期から盛んに栽培されていたそうで品種
がたくさんあります。一方、コイワザクラは江戸時代も末期、フラ
ンス人の医者と植物学者の共著によって「日本植物目録」という本
に初めて発表されたといいます。

日本列島特産で、富士山周辺、箱根、丹沢山などの関東地方西部の
岩場が分布場所。数枚の葉が根もとにつき、円形または腎臓形をし
ていて、花は5月に咲き、高さ5〜10センチの花茎に1〜5個の花
をつけます。

最近は、盗掘があとをたたず、名所も少なくなりました。箱根など
でも5月の連休に見られる数少ない花のひとつです。しかし、生育
地として知られる金時山でも乱獲され、すっかり見られなくなって
しまいました。

コイワザクラは葉の形に変化があり、南アルプスには、コイワザク
ラの変種で、葉の切れ込みが深いクモイコザクラがあります。

なお、石灰岩採掘で心配されている埼玉県武甲山固有種のチチブイ
ワザクラは、保護指定地に移植され、毎年4、5月に地元の自治体
で展示もしており、絶滅の心配はないといいます。
・サクラソウ科サクラソウ属の小型の多年草

▼【データ】
【参考】
・「植物の世界・6」(朝日新聞社)1995年(平成7)
・「世界の植物・2」(朝日新聞社)1975年(昭和50)
・「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

山旅イラスト【ひとり画展通信】題名一覧へ戻る
………………………………………………………………………………………………
「峠と花と地蔵さんと…」トップページ【戻る】