山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼678号 「山の花・爺婆のシュンラン」

【概略】
林の下などに生え、春早く咲くラン科の植物で、地味な花ですが線
状にのびた葉とつり合いが美しく可愛いい。一名ホクロというのは
花弁にあるはん点が、顔のほくろに似ているところから。方言では
ジジババというおもしろい名前がつけられています。
・ラン科シュンラン属の多年草

▼678号 「山の花・爺婆のシュンラン」

【本文】
シュンランは漢字で春蘭と書くように、春早く咲くラン科の植物。
林の下などに生えていて、10〜20センチの花茎をだして緑色を帯び
た花を1つ咲かせます。

地味ですが線状にのびた葉とつり合いが美しく可愛いい花です。爺
婆(ジイバア)というおもしろい名前もあります。

「爺」は唇弁の上にある頭の丸いずい柱のこと、婆は紫紅色の斑点
のある唇弁をいったものだそうです。「婆」に見立てた唇弁の斑点
を人間の顔のほくろに見たてて、「ホクロ」という異名もあります。

江戸時代から観賞用として栽培され、1664年(江戸前期)に成立し
た「花壇綱目」には栽培法と赤花のことが載っています。

いまの赤花系は1939年(昭和14年)新潟県村松町でみつかった品種
で「多摩の夕映え」が代表的なもの。その他朱紅金色・紅色・橙赤
色・赤紫色などいろいろな銘柄があるという。

花を塩漬け、ウメ酢漬けにして、熱湯を注いでラン茶に、吸いもの
の浮かしにに利用。ナマの花を酢のものにしたり、湯がいてあえ物
に。また以前は太めの根を火であぶり、たたいてアカギレの薬にし
たそうです。
・ラン科シュンラン属の多年草

▼【参考】
・「世界の植物・8」(朝日新聞社)1975年(昭和50)
・「植物の世界・9」(朝日新聞社)1996年(平成8)
・「日本大百科全書・11」(小学館)1986年(昭和61)
・「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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