山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼661号 「中ア木曽御嶽・コマクサとおこま母さん」

【概略】
信濃の小諸近くに住む「おこま」母さんは病気の娘の「おいち」の
ため木曽の御嶽神社祈願。神のお告げで御嶽山に咲くピンクの花を
探しだし、花の汁を飲ませたところ、娘はみるみる快方に向かいつ
いに全快。それを聞いた村人たちは、それからはその草を「おこま
草」と呼ぶようになったという。
・長野県王滝村と木曽町との境

▼661号 「中ア木曽御嶽・コマクサとおこま母さん」

【本文】
木曽御嶽山のコマクサは薬草として知られています。かつて御嶽山
の霊薬「お百草」の原料はコマクサ。しかし乱獲気味になりいまは
「キハダ」を代用としているという。

その昔、信濃の小諸近くの村に「おこま」と「おいち」という母娘
がつつましく住んでいました。ある冬、娘の「おいち」が原因不明
の病気にかかってしまい、どんな医者の診せても、どんな薬を飲ま
せても日に日に病は重くなるばかり。

心配になった「おこま」母さんは木曽の御嶽神社に行って願をかけ
ました。満願の日、母親は夢の中で小草に咲く美しいピンクの花を
見ました。

通りがかりの行者に話すと、その花は御嶽の頂上に咲いているとの
こと。これは神のお告げに違いない。喜んだ母親は元気を取り戻し
御嶽山に登り、夢で見た草を探し当て飛ぶように下りました。

家に帰り、早速「おいち」に花の汁を飲ませたところ、娘の頬はみ
るみる赤みがさして、難病も次第に快方に向かいついに全快したと
いう。

それを聞いた村人たちは、それからはその草を「おこま草」と呼ぶ
ようになったということです。

▼木曽御嶽剣ヶ峰【データ】
【所在地】
・長野県木曽郡王滝村と長野県木曽郡木曽町(旧木曽郡三岳村)と
の境。中央本線木曽福島駅の北西20キロ。JR中央本線木曽福島駅
からバス、田の原から歩いて4時間20分で木曽御嶽剣ヶ峰。一等三
角点(3063.4m)とすぐ西隣に写真測量による標高点(3067m・標
石はない)がある。御嶽神社の奥社がある。山頂北直下に一の池が
ある。地形図に山名と三角点の標高、標高点の標高と神社(鳥居)
記号の記載あり。付近に何も記載なし

【名山】
・深田久弥選定「日本百名山」(第60番選定):日本二百名山、日本
三百名山にも含まれる。
・田中澄江選定「花の百名山」(第71番選定)
・岩崎元郎選定「新日本百名山」(第63番選定・長野県)

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【標高点】緯度経度:北緯35度53分34.74秒、東経137度28分49.55

・【三角点】緯度経度:北緯35度53分35.06秒、東経137度28分50.3


【地図】
・2万5千分の1地形図「御嶽山(飯田)」。5万分の1地形図「飯
田−御嶽山」

【参考】
・「植物の世界・8」清水建美(朝日新聞社)1996年(平成8)
・「世界の植物」清水建美(朝日新聞社)1977年(昭和52)
・「続・植物と神話」近藤米吉編著(雪華社)1974年(昭和49)
・「花の伝説・高山植物」文・稲田由衣、絵・外谷恵子(株式会社
ナカザワ)
・「日本の民話300」池原昭治(木馬書館)1993年(平成5)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

 

 

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