山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼624号「奥武蔵子ノ権現の本堂は三角帽子」

【概略】
子ノ権現とは「子ノ聖」のことだという。紀伊の国で子の年のそろ
いもそろって子の月、子の日、子の刻に生まれたのが「子の聖」。
成長するにつれ各地を行脚していたが、悪神たちの憎しみから、下
半身に大やけどを負った。しかし神の力で助かり、以来、足腰の守
り神になったとの伝説がある。
・埼玉県飯能市

▼624号「奥武蔵子ノ権現の本堂は三角帽子」

【本文】
足や腰の神として伊豆ヶ岳からハイキングの「ついでに」お寄りす
る子(ね)ノ権現様。神仏習合のなごりがいまだに濃い。子ノ権現
とは「子(ね)ノ聖(ひじり)」のことだという。

平安時代のはじめ、紀伊の国(和歌山県)で、子(ね)の年(十二
支)のそろいもそろって子(ね)の月、子(ね)の日、子(ね)の
刻に生まれたのが「子(ね)の聖」。

成長するにつれ各地を行脚していましたが、悪神たちの憎しみから、
下半身に大やけどを負いました。しかし神の力で助かったという。

以来、子ノ聖は「腰より下を痛めるもの、一心に祈らばその験を得
さしめん」との誓いをたて、それ以来、足腰の守り神になり、大わ
らじと下駄が境内に据えられています。

11月、子ノ権現は木枯らしのなか。本堂をかこんで紅葉が色づいて
います。鐘突き堂のまわりは、わずかに葉を残したモミジの枝が風
に揺れています。

時々「ゴォ〜ン」と鐘の音が静かな山中にこだまします。見下ろす
と、本堂の屋根が妙にとがって見えました。

・子ノ権現【データ】
【山名・地名】子ノ権現(ねのごんげん)
・【異名、由来】:子の山。子の聖の山。天台宗別格本山 大鱗山雲
洞院天龍寺(子ノ権現)

【所在地】
・埼玉県飯能市・西武秩父線西吾野駅から1時間半で子ノ権現(大
鱗山雲洞院天龍寺)。地形図に子ノ権現の文字と寺院記号のみ記載。
付近に何も記載なし

【ご利益】
・【大鱗山雲洞院天龍寺】:足腰の守護・子宝・子育て・厄除け開運

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【子ノ権現】緯度経度:北緯35度54分27.32秒、東経139度11分17.
31秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「原市場(東京)」

【参考】
・「ものがたり奥武蔵」神山弘ほか(金曜堂出版部)1984年(昭和5
9)
・「郷土資料事典11・埼玉県」ふるさとの文化遺産(人文社)1997
年(平成9)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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