山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼613号 「茅ヶ岳・饅頭峠のマンジュウ」

【概略】
「日本百名山」深田久弥の終焉地として有名な茅ヶ岳は、中腹に終
焉の碑、南麓に記念公園もあります。近くの饅頭峠は、珍しいマン
ジュウ石の出るところ。マンジュウのような茶色い石を割ると中か
らアンコのような黒い部分があらわれる。
・山梨県韮崎市と甲斐市、北杜市との境

▼613号 「茅ヶ岳・饅頭峠のマンジュウ」

「日本百名山」深田久弥の終焉地として有名な茅ヶ岳は、中腹に終
焉の碑、南麓に記念公園もあります。

近くの饅頭峠は、珍しいマンジュウ石の出るところ。マンジュウの
ような茶色い石を割ると中からアンコのような黒い部分があらわれ
ます。

この峠に伝わる伝説です。昔、弘法大師があまり空腹なので、茶屋
の老婆に「マンジュウを少し所望したい」と頼みました。

すると意地の悪い老婆は「ここにあるのは石なので食べられない」
と嘘をついてことわりました。弘法大師が去ったあと、婆さんは驚
きました。なんと、マンジュウは本当に石ころになっていたという。

『石・昭和雲根志』増富寿之助著によれば、江戸中期の鉱物学者で
奇石愛好家・木内石亭はその著書『雲根志』に甲斐国荒井沢山(山
梨県荒井沢山饅頭峠)の饅頭について「里人は土饅頭という。山麓
に多くあり、うす赤くして少し黄なり。石より軟らかく土より堅い。
石の中には黒き膏薬のような土あり」という意味のことを書いてい
ます。

これは茅ヶ岳噴火の時にできた石で火口内の凝灰石、安山岩、の礫
を中心核として岩漿中の輝石、角閃石や磁鉄鉱などが付着して覆い、
さらに岩漿中のナトリウム、カリウム、カルシウムなどが付いてで
きたのだという。その他諸説あり。

近くのホッチ峠にも同じ石があり、学術的にも注目され県の自然記
念物として特別大事にされています。

しかし、ホッチ峠の方は山梨の自然記念物に指定され、採石は禁止
されていますが饅頭峠は可能だとか。保護の行方が心配ですよね。

▼【データ】
【所在地】
・山梨県韮崎市と山梨県甲斐市(旧中巨摩郡敷島町)、山梨県北杜
市(旧北巨摩郡明野村)との境。JR中央本線韮崎駅からバス、穂
坂柳平から歩いて1時間で饅頭峠。地形図に峠名のみ記載。標高な
し。付近に何も記載なし。

【位置】
・【饅頭峠】緯度経度:北緯35度46分10.01秒、東経138度30分01.5
秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「若神子(甲府)」&「茅ヶ岳(甲府)」(2
図葉名と重なる)(国土地理院「地図閲覧サービス」から検索)

【参考】
・「日本大百科全書・6」(小学館)1985年(昭和60)
・「石・昭和雲根志」増富寿之助著(白川書院)2002年(平成14)
・「日本山名事典」徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成16)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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