山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼597号 「奈良・二上山の権現さん」

【概略】
奈良・大阪境の二上山は二神山の意味で雄岳雌岳がならぶ双子山。
このうち雄岳の山頂だけは奈良県に属しています。山頂には二上神
社が祭られていて、地元の人は「嶽の権現さん」と呼びます。この
山は水神の性格の山だとか。干ばつの雨乞いには提灯と幟を持って
登るという。
・奈良県葛城市と大阪府太子町との境。

▼597号 「奈良・二上山の権現さん」

【本文】
奈良県と大阪府の境にある二上山(にじょうさん・ふたがみやま)
は「二神山」の意味で、雄岳・雌岳がならぶ双子山です。このう
ち、雄岳の山頂のみが奈良県だけに属し、雌岳は県境になってい
ます。

山頂には、二上神社が祭られていて、地元の人は「嶽の権現さん」
と呼ぶそうです。この山は、水神の性格の山だといいます。雨が
降らず、干ばつになった年には、提灯(ちょうちん)と幟(のぼ
り)を持って雨乞いに登るという。

山ろくの村々には「嶽の権現さん幟がお好き、幟持ってこい、雨
降らす」という里謡(りよう)もあります。それとは別に4月に
「岳登り」といって、村人が弁当を持って山に登って、1日行楽
する習慣があります。

これは花見のもとになっている「山行き」の行事だと思います。
ある年の11月の小春日和、二上山の雄岳は、となりの雌岳からの
子供たちの歓声がこだましています。

雌岳の公園は、小学生の集団登山でにぎやかです。雌岳に近づく
につれ、芝生の上で相撲をとる子、鬼ごっこで走り回る子などが
まわりをキャーキャーいってすれ違います。

しばらく小休止。時計を見ると12時はとうに回っています。今夜
のテン場の葛城山はまだかなた。昼食も早々に出発しました。


▼【データ】
【山名】二上山(にじょうさん・ふたがみやま)
・【異名】尼上山

【所在地】雄岳と雌岳がある
・奈良県葛城市(旧北葛城郡当麻町)と大阪府太子町との境。近鉄
南大阪線二上神社口駅から歩いて1時間10分で雄岳、さらに10分で
雌岳。雄岳に写真測量による標高点(517m)と葛木二上山神社の
祠と大津皇子の墓がある。雌岳には三角点(474.1m)がある。地
形図上には山名と▽の標高と▽記号の記載あり

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【雄岳標高点】緯度経度:北緯34度31分32.79秒、東経135度40分3
9.47秒
・【雌岳三等三角点】緯度経度:北緯34度31分20.68秒、東経135度4
0分32.78秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「大和高田(和歌山)」。5万分の1地形図
「和歌山−大阪東南部」

【参考】
・「角川日本地名大辞典29・奈良県」永島福太郎ほか編(角川書店)
1990年(平成2)
・「日本歴史地名大系30・奈良県の地名」(平凡社)1981年(昭和56)
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「日本山名事典」徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成4)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
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