山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼589号 「北ア・焼岳のふたり連れ」

【概略】
北ア唯一の活火山焼岳。途中で追い抜いたふたり連れ。会話からご
夫婦でもないらしい。でも丁寧な言葉づかいで、とても不純な関係
には見えない。途中で道連れになったのか、いたわり合いながらい
い雰囲気で登っている。ちょっとうらやましくもあり、気になる姿
でありました。
・長野県松本市と岐阜県高山市との境

▼589号 「北ア・焼岳のふたり連れ」

【本文】
焼岳は北アルプス唯一の活火山。中ノ湯や新穂高など周辺の温泉を
湧かせています。

爆発は、初めて記録に残る天正13(1595)年以来・安政5(1858)
年・明治45(1912)年・大正4(1915)年・昭和37(1962)年と、
数十回もの爆発を起こしており、その活動は活発です。

かつて岐阜県に流れていた梓川を長野県に流れるようにしたのも焼
岳の爆発によるものという。大正4年の大爆発は梓川をせき止め、
大正池をつくっています。

また昭和37年の大爆発では、溶岩流や泥流が焼岳小屋を押し流し、
小屋の管理人が重傷を負う事件もありました。大正池が泥流で埋め
られ、幅広の川のように規模が小さくなってしまったのもこの時と
いいます。この噴火のあとが中尾峠から山頂にかけていまも残って
います。

この後、しばらく登山が禁止されていましたが、いまでは2393m地
点の北峰まで登ることが可能になっています。しかしいまでも所々
に登山者に注意を呼びかける看板が建てられています。

7月、西穂山荘から中尾峠とおり、焼岳にやってきました。登山者
に注意を呼びかける看板を過ぎる辺りで追い抜いたふたり連れ。会
話からご夫婦でもないらしい。

でも丁寧な言葉づかいで、とても不純な関係には見えない。途中で
道連れになったのか、いたわり合いながらいい雰囲気で登っていま
す。がさつな自分を恥ながらも気になるふたりの姿でありました。

▼【データ】
【山名】焼岳(やけだけ)
・【異名・由来】硫黄岳

【所在地】
・長野県松本市(旧南安曇郡安曇村)と岐阜県高山市上宝町(旧岐
阜県吉城郡上宝村)との境。篠ノ井線松本駅の西34キロ。松本電鉄
新島々駅からバス、上高地から歩いて4時間40分で焼岳北峰(南峰
は登山禁止)。北峰に写真測量による標高点(2393m・標石はない)
がある。南峰に二等三角点(2455.37m)がある。

【名山】
・深田久弥選定「日本百名山」(第58番選定):日本二百名山、日
本三百名山にも含まれる。
・清水栄一選定「信州百名山」(第70番番選定)

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【南峰】登山禁止(標高2455.37 m 、三角点)(基準点コード TR2
5437246701)・(緯度 36度13分36.7123秒、経度 137度35分13.432秒)
・【北峰】登山可【標高点の詳細】:(標高2393m)(写真測量による
標高点)(緯度経度:北緯36度13分47.01秒、東経137度35分16.39秒)

【地図】
・2万5千分の1地形図「焼岳(高山)」。基準点閲覧サービス5万
分の1地形図「高山−上高地」

【参考】
・『北アルプス物語』朝日新聞松本支局編(郷土出版社)1982年(昭
和57)
・「信州山岳百科・2」(信濃毎日新聞社編)1983年(昭和58)
・「日本三百名山」毎日新聞社編 1997年(平成9)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
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