山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼572号 「西丹沢切通沢の奇妙な鼻息」

【概略】
山中湖と富士山を望む絶好地切通峠。その東側・切通沢の源頭にテ
ントを張った。夜、動物が水を求めてやってきてまわりを徘徊する。
そのうちひときわ鼻息の荒い動物が近づいてきた。しばらく様子を
見ていたが無害だと思ったのか、やはり鼻息をたてながら去ってい
った。たぶんイノシシだったらしい。
・神奈川県山北町と山梨県山中湖村との境

▼572号 「西丹沢切通沢の奇妙な鼻息」

西丹沢の切通峠は山梨・神奈川の両県境の稜線にあり、山中湖と富
士山を望む絶好地です。かつては相模・甲斐・駿河の三国で入会権
の争いがあった所。

とくに山梨県側平野地区と神奈川県側世附地区の争いは激しかった
という。峠の東側・切通沢の源頭は小平地で、先年、仲間で野宿した
ところ。乱舞するホタルが見事でした。

数年後、もの好きにも身延線の市川大門駅から四尾連湖・御坂山塊
を縦走し、御正体山・山伏峠を越えてひとりでやってきました。大
きな富士山と山中湖、それにタニウツギの満開の花が迎えてくれま
した。きょうで5日目、切通沢に泊まろうと立ち寄りました。

先年と違い小平地付近には沢の流れがありません。ことしはお天気
続きで、沢の水も不足勝ちなのでしょうか。下流にかなり歩いたと
ころにかろうじてチョロチョロと流れています。ありがたいとポリ
タンクにくんでテントを張ります。

夕闇がせまると物音もしなくなり一段と静かになります。夜が更け
るころ、いろいろな動物が水を求めてやってきてテントのまわりを
徘徊します。いつものことです。

そのうちひときわ鼻息の荒い動物が近づいてきました。見慣れない
ものを見て興奮したのでしょうか。悪かったよ、一晩だけ頼むよ。
近づくとピタリと鼻息を止めました。

しばらく様子を見ていたようでしたが無害だと思ったのか、やがて
テント近くから離れ、また鼻息をたてながら去っていきました。あ
れは一体何だったのでしょう。たぶんイノシシなのででしょうね。

▼【データ】
【所在地】
・神奈川県足柄上郡山北町と山梨県南都留郡山中湖村との境。富士
急富士吉田駅からバス、平野下車、歩いて45分で切通峠さらに10分
で切通沢源頭。付近に何もなし。地形図上に地名など何も記載なし
(林道も記載なし)。沢源頭より西方向直線約640mに切通峠がある。

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【切通峠】緯度経度:北緯35度25分23.03秒、東経138度55分48.57

・【切通沢】緯度経度:北緯35度25分29.25秒、東経138度56分13.25


【地図】
・2万5千分の1地形図「御正体山(甲府)」

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
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