山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼482号「大和葛城山のクジラの滝」

【概略】
大和葛城山への登山道に「くじらの滝」がある。昔、弘法大師がこ
の地を訪れたとき、この滝が天竺のクジラの滝にあまりによく似て
いるので「供尸羅・クジラ」と名づけたという。そばにはお籠もり
堂があっていまでも修行している人がいる。
・奈良県御所市

▼482号「大和葛城山のクジラの滝」

【本文】
大和葛城山からロープウェイに乗らず、登山道の真上をロープウェ
イが通るところがあります。山道には大きく「頭上に注意!」の立
て札。思わず、注意ってどう注意すればいいのか、とひとりごとが
出ました。

それからさらに下ると「くじらの滝」があります。くじらは鯨の意
味ではなく、天竺の「クジラの滝」のことだという。

その昔、弘法大師空海がこの地を訪れたとき、この滝が天竺のクジ
ラの滝にあまりによく似ているので「供尸羅・クジラ」と名づけま
した。

しかし、この「供尸」という字は「共に屍」と書くため縁起が良く
ないといって永井信濃守が供尸(くし)の2字を櫛に改めたのだと
いう。

この滝は尼ヶ滝とか不動滝と呼ばれ、浴するものは不動明王の功徳
によって脳病に効くといわれていると、御所市観光協会が立てた説
明板に書かれています。

すぐそばにはお籠もり堂があって、くじらの滝で修行される方はこ
の滝をご自由にお使い下さいとの板が打ちつけられています。滝の
わきの不動明王には生花がきれいに供えられ、

いまでも小屋にこもり修行している人がいます。さすが修験道の本
場。しばらく岩に腰かけ、感じ入りました。

・【データ】
【所在地】
・奈良県御所市。近鉄御所駅から歩いて1時間45分でくじらの滝。
滝とお籠もり堂がある。地形図上には滝名と滝の記号のみ記載。登
山道の上をの葛城山ロープウェイの索道が通る

【位置】
・【くじらの滝】緯度経度:北緯34度27分44.15秒、東経135度41分4
3.63秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「御所(和歌山)」

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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山旅イラスト【ひとり画展通信】
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