山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼464号 「イチ、ニのサンリンソウ」

【概略】
イチリンソウは花をひとつつけるため一輪草。ニリンソウ(二輪草)
は花が必ず2個ずつつくわけではなく、ふつうは1〜3個。サンリ
ンソウもニリンソウよりも花が多くつくというので三輪草。まるで
1、2、3のかけ声が聞こえてきそうです。
・キンポウゲ科イチリンソウ属

▼464号 「イチ、ニのサンリンソウ」

【本文】
春の道ばた、イチリンソウの仲間も咲きはじめました。仲間のニリ
ンソウ、サンリンソウなどのほか、高山植物のハクサンイチゲなど
があります。

イチリンソウは、山地の林のふちなどに生える多年草で、花をひと
つつけるため、「一輪草」の名があります。一名一夏草とか一花草
と書いたりします。

春早く地上に茎や葉を出して花を咲かせ果実を結び、初夏には枯れ
てしまいます。このたった2ヶ月の間に光合成をして、地下茎に栄
養をためて1年のほとんどを枯葉の下で過ごします。花弁はありま
せん。

ニリンソウ(二輪草)も代表的な早春植物で、やはり林のふちや草
原の落葉広葉樹林の下に生えます。4、5月ころ、根生葉の間から
高さ20センチくらいの花茎が出て、直径2センチほどの白い花を咲
かせます。

しかし必ず花が2個ずつつくわけではなく、ふつうは1〜3個。名
前どおりにはいかないものです。花のひとつは頂花でその他は茎葉
のわきから出ています。

サンリンソウは亜高山帯に多く6、7月に高さ15〜30センチの花茎
を出して、直径1.5センチの花をふつう2、3個つけます。またこ
れは夏になっても根生葉が枯れずふつうの多年草と同じで、株の根
元には古い根生葉の枯れ残った繊維をつけています。

これらの植物は花の数は必ずしも決まってはいないが、平均的にた
しかにサンリンソウの方がニリンソウよりも多くつくというから面
白い。まるで1、2、3のかけ声が聞こえてきそうです。一輪でも
二輪でも三輪でもみんなキンポウゲ科イチリンソウ属だという。

【参考】
・「植物の世界・8」(朝日新聞社)
・「世界の植物・6」(朝日新聞社)1977年(昭和52)
・「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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山旅イラスト【ひとり画展通信】
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