山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼460号 「東京奥多摩・豚とオオカミ」

【概略】
オオカミは大神に通じ、口が大きく裂けたところから「大口の真
神」と敬って呼ばれ、信仰の対象になった。奥多摩周辺ではその
オオカミのこま犬です。それも豚のように太ったオオカミ。この
あたりは餌である鹿が多く、オオカミは育ちやすかったのかも。
・東京都奥多摩地方

▼460号 「東京奥多摩・豚とオオカミ」

【本文】
農村へ行くと農家の門口に狼の絵を描いたお札が張ってあるのを見
かけます。大口真神(おおぐちのまがみ)の文字も印刷してありま
す。

オオカミは大神に通じ、口が大きく裂けたところから「大口の真神」
と敬って呼ばれ、山の神の眷属神として遠く万葉の時代から信仰さ
れました。

奥多摩の御岳神社の社伝(1622・元和8年・江戸初期)の記述によ
れば、昔、日本武尊が道に迷ったとき、白いオオカミが道案内をし
てくれ、無事に通ることができた伝説から御岳山の守護神になった
という。

御岳山の大口真神社はこの神狼を祭ってあるところで、明治維新以
前は「神狗供え所」といわれ、このおいのさま(地元ではオオカミ
のことをこう呼ぶ)へのお供えをするところだったという。

しかし奥多摩の狛犬はユニークです。戸倉三山の臼杵神社はカイコ
の神で狛犬は猫だといいますが豚のように太っています。また大岳
山の大岳神社や御前山近くの鑾野(ばんの)神社の狛犬も同じよう
な形です。

どうみても豚にしか見えないほど太っています。このあたりは餌で
ある鹿が多く、オオカミは育ちやすかったのでしょうかねえ。

▼御岳神社【データ】
【所在地】
・東京都青梅市。JR青梅線御岳駅下車バス10分ケ−ブル6分さら
に歩いて20分で御岳神社。写真測量による標高点(929m)と御岳
神社の社殿がある。地形図に山名と標高点の標高と御獄神社の文字、
記念碑の記号の記載あり。標高点より南西方799mに奥ノ院がある。

【ご利益】
・厄徐・延命・長寿・子孫繁栄・五穀豊穣、防火(火伏せ)

【位置】
・神社わき標高点:【緯度経度】北緯35度46分58.25秒、東経139度0
8分58.25秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検
索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「武蔵御岳(東京)」

【参考】
・「奥多摩風土記」大館勇吉著(武蔵野郷土史刊行会)1980年(昭
和55)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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山旅イラスト【ひとり画展通信】
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